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サンフランシスコ〜フライトケース1

昨日はa-nation stadium fes.でした。
味の素スタジアムといえば数年前ラルクのライヴを観に行きました。
雨が降ってなかなか過酷な状況ではあったけれども、印象深いライヴであったことを今でも覚えています。
a-nationといえば毎年バックステージのケータリングがとても美味しいのがウリなのですが、そのことを完全に失念しておりガッツリお昼を食べてから会場に入った瞬間に漂う美味しそうなケータリングの匂いを嗅いで「しし、しまった!」と狼狽しても後の祭り。
せめてアレだけでも…とやはり名物バックステージサービスの「にんにく注射」でドーピングをしたのでありました。(カズ君はさらに強力な「スペシャル」を打ってましたw)

コンサートツアーをしていて必要なものは無数にあるが、我々ミュージシャンにとって欠かせないものとして挙げられるものの一つにこの「フライトケース」というものがある。

IMG_3089
(メインで使っている2台のキーボードのフライトケース)

繊細で壊れやすい楽器を守る頑丈なケースなのだが、自宅やスタジオに固定して使う場合はもちろん必要のないものだ。
だが移動をメインとするコンサートツアーの場合は必要不可欠なものとなる。

仕様や重さ、値段などは日本国内ではピンキリなのだが、アメリカの場合は何となくではあるけれどもほぼ一社独占、もしくは統一された仕様のように思える。
どのバンドもどの機材もほぼこんな感じ(写真参照)で実に個性がない。

日本ではどうかというと、まずシンセならシンセメーカーの「純正ケース」といったものがある。
それも「ソフトケース」「ハードケース」「セミフライトケース」「フライトケース」といった感じで用途に応じて複数用意されている。
その他に「duplex」「ARMOR」「SKB」「GATOR」といったケース専門メーカーが汎用品を用意していたり注文に応じて特注ケースを作ってくれたりする。
選べる色は10種類以上、迷彩柄や水玉模様等に対応しているメーカーもある。

例えば僕がここ数年愛用しているYAMAHA CP-1デジタルピアノはduplexの特注品で、二人で持ち運べる用にケースの両側に取っ手をつけ、逆に一人では運べないようにケース中央には取っ手をつけていない。

キャスター(車輪)は大型のものが4輪ついているのでトラックから降ろすときは二人、転がす時は一人、ケースを開けてセッティングする時は二人といった流れ作業を考えて作ってもらっている。
CP-1の自重だけで35kgあるし、おそらくこのケースも同じぐらいの重量がある。
合計70kgの物体になるのでそこまで考えて作ってもらっているわけだ。

ところが、である。
アメリカ製のフライトケースの場合はどうだろうか?

IMG_3088

上の写真を見ればわかるが、創意工夫はまさにゼロだ(笑)
自重の重いCP用のケースも比較的軽量のシンセサイザーKRONOSも分け隔てなく同じ構造をしている。
これは何も鍵盤楽器に限らず、大体どのフライトケースもとにかく頑丈に作ってあり、注文に応じてといった繊細な感じは一切ない。
上にモノを乗せて運べそうなケースにはキャスターがついている程度の違いしかない。

とにかく無骨そのものでどれも腰を悪くしそうな重さだ。
もしかしたら日本同様いろんなケースが存在しているのかもしれないのだが、ことツアー現場に於いては一社独占、もしくは統一された仕様のように思える(復唱)。

さらにアメリカのフライトケースは随分前から一切の進化を止めているようで、実際ここ20年以上全く変化をしている気配が感じられない。
(僕が肉眼で確認したのが20年前の話なので20年としたが、もしかしたら30年、40年以上このままということも大いにあり得る(笑))


前回のエントリーにも書いたのだが、VAMPSは今回のアメリカツアーから「海外専用機材」というものを導入した。
ケースから細かいケーブルに至るまで可能な限りアメリカで用意したのはとにかく安いというのも大きいのだが、頑丈さが本当にハンパなく優秀だからだ。
そしてこの無骨なケース群を見ていて「一体日本とアメリカのこの差はなんなのだろうか?」とサンフランシスコの会場でふと思ってしまったわけだ。

その理由を考えてみた。


一つすぐに思いついたのは、とにかく大雑把な国のすることなのでケースごときにいちいち使用用途別なんてことは考えていないのでは?ということだ。
仕様が増えればそれだけコストが高くつくし効率が悪い。
選ぶ側にしても1種類しかなければ悩む必要もない。
実にアメリカ的な理由である。

いかにもバカっぽい答えだが案外的外れというわけでもなさそうだ。
(iPhoneの発想がまさにこれだ。日本の電機メーカーがd社a社s社向けにそれぞれ別々にデザインやら仕様やらの異なったものを出せば出すほどに開発費はかかる。周辺メーカーも保護フィルムからケースから充電器までそれぞれ別々に必要になってくるわけで、当然コストはかかるし売り上げも分散してしまう。その点iPhoneは1年に1度程度1機種か2機種出るだけだ)


対照的なケースもある。
アメリカ製のケースメーカーSKB社はNASAの宇宙技術を応用した超軽量ケースというのを開発して世界的に成功したメーカーだが、コンサートツアーで見かけることはまずない。
答えは単純で、すぐに壊れるからだ(笑)
R6U-close
(通常用途では十分な強度を誇るが、過酷なツアートラック運搬には向かない)

SKBはあくまでも「簡単な移動」に適している汎用品であり、プロのコンサートツアー向けには作られていない。
その辺り実に両極端で「なんとなくどちらの用途にも…」といった日本的発想のものはないし、仮に作ったとしても購買層不在で売れないのだろう。

主流ケースがクソ重くて頑丈な理由はもう一つある。
それはこのアメリカという国のエンターテインメント事情が切実に関わっている…

かなりマニアックな内容のまま次回に続く。
求められてなくとも続く(笑)