マニピュレーター

いよいよ全米ツアーが始まる!
…と行きたいところだが、現実でのタイミングは内外ともに「2015BeastParty〜幕張海岸野外イベント」に染まっている。
本番2日前に話し始めるにはあまりにも空気を読んでないというか、間が悪い。

ので、今日は僕の仕事のマニピュレーターについて整理をしておきたい。
案外わかっているようでわかられてないのがこのマニピュレーターという職業であり、うちの両親などは100回説明してもちっとも理解してくれないままもうすぐ30年が経過しようとしている。
……100%の理解は難しいかもしれない、というよりも100%の説明ができる気がしないのだが、頑張ってみる(笑)

まずはステージでみかける僕だが、おっそろしいメイクにマスクをした姿でキーボードやピアノを弾いたりパーカッションを叩いたりしている印象が強いかと思われる。(知らない人はプロフィール写真参照のこと)
これは表の姿の「JIN」というキャラである。
他人事のように書いたが、無論僕のことだ(笑)
(できれば両親には知られたくない姿であったが、僕の両親は過去に一度だけ代々木体育館に観にきたことがあったのだった。愚息ですんまそんの思いである)


一方ではパソコンを操作してその日のセットリストをしかるべきタイミングで出しているスタッフサイドとしての「仁」という本来の僕もいる。

_TK18944
ステージ機材。正面と右側がJINのモノで左側が仁のモノ(笑) Photo by 田中和子
(プロが撮る写真てやっぱり別次元にかっこいいなぁ(^^)

そして楽屋でメイクを開始する本番1時間前ぐらいから本番が終わってメイクを落とすまでの合計3時間半ほどの時間のみがJINであり、普段は仁ということになる。
ちなみにバックステージでは変身前、変身後で別人の扱いを受けている(笑)
新入りスタッフやバイト君はステージ上のJINがどこから出現しているのか不思議に思っていることだろう。
もっとも普段からあんな格好をしたマニピュレーターがいたら、少なくとも僕はトモダチにはなりたくない(笑)


さてライヴにおけるマニピュレーターの役割は、ざっくりといえば「ステージ上で演奏している以外の音」を出しているパートということになる。
これらのパートの総称を「シーケンス」と呼んでおり、これを管理しているのがマニピュレーターの仕事ということになる。


レコーディング時に録音されていくトラックの本数は今や200を超えることも珍しくなくなってきているのだが、そこからまずはドラムやベースや歌を除外していく。
さらにギターやシンセサイザーなどはパート別に割り振りをしていく。
演奏するパートは除外し、シーケンスとして出すパートを吟味していく。

CDと全く同じ音にするのがライヴの目的ではないので、あえてパートを削る場合もあれば、ライヴ用に新たに作り直したり加工をすることもある。
ライヴバージョンとして曲のサイズを変えたり、演奏前にイントロ的なSEや効果音を付け足したりする場合も多々ある。

この辺りの作業は十分な時間をかけてアーティストと「あーでもないこーでもない」とリハーサルの中で試行錯誤を繰り返して少しずつ決定していく。

アルバム発売後のライヴともなれば、そのバランス調整に明け暮れる日々が始まる。
ライヴが実際に始まると今度は演奏をチェックしてさらに改善を重ねていく。
ツアー序盤は早朝出勤、深夜までZEPPに居残りなんてことも珍しくなくなる。

調整ができて演奏とシーケンスデータが安定してきた頃になると、今度は旧曲とのバランスを吟味したり音量の調整をしなおす。

つまり、果てなきループゾンビなのだ(笑)
これはマニピュレーターに限ったことではなく、ライヴスタッフは常にこの状態に陥っているというか、そういう状態でいることが好きなのだと思う。

なぜだろう?と考えてみた。
ぼんやりと感じた一つの答えはこうだ。
伝統芸能といったジャンルは「失われないように守り続ける」のが倫理観や強い価値観であるのに対して、我々は「常に変化を求める」ことに強い使命感をもっているからなのではなかろうか?

話が壮大にズレた(笑)

マニピュレーターはこうして作り込みを重ねたシーケンスデータを曲ごとに管理しているのだが、当然日々変わるセットリストにも柔軟に対応できなければならない。
フロントマンの楽器の持ち替えや演出などにも気を配りつつも、間延びしない絶妙な曲間タイミングで曲を出すのも重要な任務となる。
僕の場合は演奏者も兼任しているので、あらかじめ数曲分をつなげたプログラムを組んでしまうことも多いが、これを短時間で組むのもそれなりの熟練が必要となる。

なんだか「どうだ!難しい仕事だろう!」と威張っているような気がしてきた(笑)
だが僕の知識を伝えるだけなら、おそらくは数日あれば全てを伝えられると思う。
そこまで難しいことをやっているわけではない。

だが得た知識を実践し体得し失敗を重ねて度胸をつけて一人前になるには、やはり数年間はかかるだろうし、新たな知識は常に求められるし技術は進化し続けている。

ここでもやっぱり「果てなきループゾンビ」なのであった(笑)

あまりオススメできた職業でもないのだが、ゾンビが好きでVAMPSが好きな人なら素質はあるかと思われる。
弟子の募集はしていないので、興味のある方は各自で道を模索されたし!

という実にいい加減な〆で本稿を突如として終了する。

※ループゾンビ……電気グルーヴの名曲

そんなわけで週末のBeastPartyに向けて、今もなお調整を繰り返してます。

このイベントだけの特別な演奏内容があるように、このイベントだけに使用するSEというものもまた存在するわけです。
そういうのを作るのは本来のマニピュレーターの仕事ではないので、これはきっとJIN側の作業となるのでありましょう(ややこしい(笑))


アーティスト本人の確認を待つ間につらつらと書いた文章なのでいつにも増していい加減です。
なに?いつものと違いがわからないですと( ̄□ ̄;)!!