富良野背景〜準備編

大阪でのピアノ特訓モード開始。

しかし通常業務の合間を縫ってということになるので、誰にも迷惑のかからない範囲と場所を確保しなければならない。

1.ステージ
ステージには自分の機材が常時置いてあるのでもちろん練習するにはもってこいだろう、と思ったあなたはまたしてもシロートさんである(笑)
というのも本番前のステージ上というのは常に何かしらの作業が行われているものだ。
照明さんや映像さんのチェックというのは非常に時間のかかるものだし、常に新しいパターンなどの模索をしていることも多い。
しっとりムードの曲を弾いているのにステージ上はストロボがチカチカ点滅し派手なレーザー光線がグルグル飛び交っていたり、あるいは突如暗転したりと練習環境としてはかなりの劣悪っぷりを誇る(笑)
また単純にピアノ鍵盤の上にあるシンセが譜面台としては実に不適切で、ズルズルと譜面が滑り落ちてくるのもよろしくない。
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(写真ではわかりにくいが上のシンセは微妙に傾斜している)

2.楽屋通路
なんばハッチの楽屋はかなりの部屋数があり快適なのだが、今回ゲストバンドがいたり、VAMPSの各取材も多く空き部屋がなかった。
そこで本番日は廊下にテーブルを置いてそこに予備のシンセを置いて練習することにした。
もっとも5オクターブのプラスチック鍵盤なのでピアノの練習にはならない。
主に曲を覚えるための譜面読みと構成覚えに特化したのだが、むしろ環境が限定されることによってするべき作業が効率よく振り分けできたようにも思った。案外悪くない。
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慌てていたのでたまたまVAMPS宛のプレゼントボックスに入っていたファンのみなさまからのパネルを借りてこの時だけ譜面台にさせてもらった(笑)
(その後ちゃんと楽屋の壁に貼ってもらったので許してください)
ケータリングのカレーを食べながらとか、当時の余裕のなさが伝わってくる(笑)
足元をよく見ると、ハロウィン銀テープがここにも撒かれている。

3.オフ日の空き楽屋
今回のなんばハッチ行程でのオフ日は3日間。
うち1日はアーリーバースデーで夕方から大勢で誕生会を開くことが決まっていたので実質は2日半。
まとまった時間はありがたい。
VAMPARKが開催されている会場に午前中に入りステージのデジタルピアノを楽屋に移動して本格的練習に突入。

ところでクラシックの人の作る譜面と僕らポップスフィールドの人間が読む譜面には微妙な違いがある。
現場合理主義での簡略化だったり速読性重視のシンコペーション表記の違いなどだ。

今回もっとも困ったのが、例えば#(シャープ)が3つのキー「A」でのナチュラルF(白鍵のファ)の表記。
楽典ではこれをE#と表記するのが正しいのだが、これが僕にはどうにも読めない。
いや理屈はわかる。
わかるのだけれども毎回「え?E#?」と指の反応がモタついてしまって間違えてしまう。

E#

そこで下記のような表記に譜面を書き直すのだが、全箇所に赤を入れていくのも大変だし見栄えも悪いし、直したい部分は他にもたくさんあるのでいっそのこと譜面そのものを作り直すことにした。
F
楽典上は誤りなのだろうけど、こうしないと間違えてしまう長年の習慣恐るべし(笑)

遠回りのようだが自分の読みやすい譜面に作りなおすためにピアノとパソコンをつないでコツコツと譜面作成をしていく。
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なかなか練習が始まらないが、長い目で考えればここは確実にやりやすいモノを作ってしまうのが吉だ。

去年の黒ミサはこうして作った譜面データをpdfにしてiPadに表示させて本番に臨んだ。
iPadに譜面データを入れておくととても便利なのだ。
譜面をなくすこともないし、野外で譜面が風に飛ばされることもない。
数年後でもすぐに呼び出せる。
また画面が光るので譜面灯もいらない。

しかし今回の場合は画面のページをめくってられる曲がほぼない上に、練習ポイントの書き込みがメチャ多いような気もしたし、ピアノ師匠のアドバイスなども書き込みできた方がなにかと都合がよい。

通常サイズのA4用紙だと大きすぎるのでB5サイズでプリントする。
さらにコピー用紙は実に脆弱ですぐに破けてしまうので、紙の周囲をガムテで補強する通称「裏貼り」をほどこす。
これが簡単なようでなかなか難易度の高い作業なので、日頃VAMPSライヴのセットリストの裏貼りを担当しているマネージャーKちゃんと手先の器用なT部長に業務委託をする。
僕はこういった神経を使う作業がとても苦手なのだ。
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(若者にメンドくさい作業を押し付けているだけなんじゃ?などと思ってはいけない)

こうして出来上がった「丈夫で書き込みができる譜面」に思う存分赤ペンと鉛筆でポイントや覚え書きや注釈を書き込んでいく。
iPadも便利なのだが、この機能性と手軽さという点では実質まだだいぶ劣る。

ようやくここで具体的な練習内容である。
2000文字近く使って一体今まで何を説明していたのだか(笑)

まずはリハ日に備えてひたすら練習をするわけだが、最初の頃はなかなかおたまじゃくしが身体に入っていかない。
昔と違って明らかに性能が劣化しているオサーンの脳みそである(´_ゞ`)ちーん

その日の終わりになんとか曲の最後までたどたどしく弾けるようにはなっても、翌日には半分ぐらい忘れてしまっている。
悲しい顔で思い出しながら苦しい顔で譜面を睨み、何回か通して弾くと少しずつ記憶が蘇ってきて再び弾けるようになってくることで初めて明るい顔になれるというものだ(笑)

翌日もまた弾けなくなっているのだけれども昨日よりは覚えていて、だいぶ早く思い出せるようになってきたり、譜面を見なくても勝手に指が動き始めてくれたりする。
1曲2曲ならもう少しペースは早いのだが8曲同時進行となるとやはり一進一退というか七転び八起きというかスイッチバック方式というか、とにかくグイグイとは進まない。
だけどあともう少しだ。

そうこう地道な練習を繰り返すうちに少しずつ本人の性能が上がってくる。
例えば譜面読みの理解力だったりテンポ感の体得だったりが早くなってくる。
ずっとやってきたことでもやらなくなれば能力は衰えるが、しかし再び使い出せばまた勘を取り戻せるようになってくる。

また曲によっての相性もあるみたいで、2〜3回弾いただけで覚えられてしまう曲というものも出てくる。
通常のコード譜面の場合は大体そんな感じなのだが、最初から最後まで書き譜となるとそう簡単にはいかない。
この辺りも急速なスキル復活なのかもしれない(喜)
最初のオフ日は1曲たりとも満足にできなかったのに、3回目のオフ日の頃には全般的にだいぶ弾けるようになってきた(再喜)

こうしてなんばハッチ最終日を迎えた。
本当、10日間なんてあっという間なんである。

翌日は早めに東京に戻って自宅のデジタルピアノで練習をし、夕方からいよいよ生ピアノを使った練習に突入する。

久しぶりのタッチの生ピアノ。

やはり全然違う。
勝手が違う。
音が違う。

難しい。
デジタルと全然違う。
こんな繊細な楽器を弾きこなせるのだろうか?

引っ張るようだがさらに続く。