地震の予知、予言について

現在進行形で発生している熊本県の地震。
最初の発生から二日経った現在でも大きな余震が続いているとの情報の中で予断を許さない状況ではありますが、被災された皆様の1日も早い日常への復帰をお祈りしております。
また亡くなられた方へのお悔やみを申し上げます。
 

こんな時に、というかこんな時だからこそ書いておきたいことがある。
「オトナの〜」シリーズを一旦区切って記しておく。
 
 
今回の地震について、きっとあと何日もしないうちに「東日本大震災を予言した○○氏がまた当てた!」といった記事やネットニュースが出てくると思われる。
そのほとんどがインチキの類であるということを説明しておきたい。
 
まず2011年の東日本大震災から5年と1ヶ月、61ヶ月の期間に震度5弱以上の地震が日本国内で何回ぐらい発生したかご存知であろうか?
10回?20回?
そんなものではない。
128回である。
(日本気象協会 過去の地震情報)
 
東日本大震災の連動地震だけで30回以上、今回の熊本地震だけで既に16回(4/16午後2時現在)起こっているが、それらを除外したとしても80回以上である。
 
つまり我が国は月に1度以上の周期で震度5以上の地震が起こり続けるという性質を持った国土ということになる。
ちなみに震度5弱とは東日本大震災時の東京23区の震度である。
「あの揺れ」が毎月一度どこかで起きている地震の多い国なのだ。
 
ここがまず第1点。
 
次に東京大学地震研究所といった権威のあると思われる地震学について。
結果を蓄積して未来の災害に対しての予測を立てるという方向性こそ見えるものの、正確な地震予測ともなると未だに指針もたっていないそうである。
データが複雑すぎて現代文明ではまだまだ地震予知は難しいらしい。
 
今回の熊本地震についても発生確率は4%未満とされており、東海地方や三陸沖の80%以上とされる確率と比べると明らかに「安全」そうであった。
また2014年に起こった御嶽山の噴火にしても危険度レベル1での大惨事であった。
 
天気予報ですら未だにこれだけ外れているのだから当然といえば当然の話だ。
  
これらのことからもわかる通り、温泉地などで見ることのできる「間欠泉」のようなシンプルな仕組みの自然エネルギーの予測程度はともかくとして、巨大地震や火山噴火というものは現代の科学では未だに解明されていない未知の領域ということになる。
 
また数年前にFM電波の乱れによる地震の発生予測というものが話題になったが、これにしてもある程度の予測はつくものの、震源地やマグニチュードまではよくわからず、その後も研究は続けられているとは思うが、あまり話題にならなくなったことを思うと実用段階にはまだ遠いということになるのだろうか。
 
結論としては学術的観点からの予測はまだまだ難しいと言って差し支えないと思われる。
 
 

 
 
次にあるのが「予言」といったやや胡散臭い類の話になるのだが、これが今の日本には実に多い。
 
近年こういった予言でもっとも稼いだ人物で思いつくのはジュセリーノ氏であろうか?(笑)
wikipediaではかなり意地悪な感じで解説されているが、有名になってからの予言はほとんどまったく当たっていない。
 
試しに今ネットで「地震 予言」と検索してみるだけで早速今回の熊本地震を的中させたという話題がウジャウジャとヒットしてくる。
 
まぁ中には人知の想像を超えた能力を持った人が神の啓示をうけた!ということもなくはないだろうけれども、この際…
 
大部分はインチキと断言してしまおう。
 
こちら側からの疑惑の根拠を挙げてみる。
 
○予言というものは事象の起こる前に予めしておくことが絶対条件となるが、実際に我々は地震や事象の前にその予言を知っていたわけではない。
 
○「実は1年前に予言して記しておいたのだ」とメモのようなものを見せられたとしても、それが1年前に書かれていた証拠が特にない。
 
○予言で有名になった人の予言はそれ以降当たらなくなる。
 
 
この3点がクリアーされない限りはなかなか信じるまでには至らない。
郵便の消印などの証拠にしてもいくらでもインチキができるのは子供向けの漫画にも出てくる手口であるし、これだけ手品マジックで事実とは違う不思議なことを起こすことができる以上、確実な証明手段を探す方が難しいだろう。
証拠提示が大掛かりであればあるほどいよいよ疑わしく感じてしまう(笑)
 
 

 
誰でもインチキ預言者になれる手段をここに記しておく。
「今日から俺も預言者だ!」と喜んで実践するのは構わないがバレても責任は取れないので自己責任で…というよりはオススメはしない(笑)
 
前述のように日本国内で起こる震度5弱以上の発生は5年で128回、年間平均約25.6回。
「5年以内に日本のどこかで震度5〜7の大きな地震が来るであろう」
という予言なら間違いなく100%的中する。
ここ5年で128回起こっているのだから、それらがピタリと止むとは思えない。
 
しかしこの予言では世間のハートを射止めることはできまい。 
次に日本全国をエリア別に分ける。
北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州の八地方区分が一般的だろうか。
予言の範囲を絞り込んでいくことによって的中確率は低下していくわけだが、後はそのさじ加減だけとなる。
「3年以内に関東地方で震度5以上の地震が起こるだろう」でおそらくほぼ確実に起こりそうにも思うし、もしそれで2年半後に震度4の地震が来たら、あるいは隣の中部地方で同等の地震が起きたとしたら「まぁ大体当たっていた」という印象を抱くことだろう。
この例はキリがないのでみなさんそれぞれに頭の中でシミュレートしてみていただきたい。
 
これを「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」作戦で固めていけば良い。
例えばホームページなりブログなりSNSを使って地味に予言を繰り返す。
 
「2016年4月に九州地方で震度5以上の地震が起こる」
「2016年4月に北海道地方で震度5以上の地震が起こる」
「2016年4月に関東地方で震度5以上の地震が起こる」
……
といったあらゆるパターンを記述しておき、九州以外を削除してしまうだけで簡単に100%の予言的中を演出できてしまうことになる。
 
すべてのパターンを予言しておいて外れたものは削除してしまう。
 
予言ページを作ってもいいし、ツイッターのアカウントを複数用意しておき予言の外れたアカウントは削除をしてしまう。
これであなたは的中率100%の預言者になれるということになる。
(4つの事象のYesNo全てを的中させるには16のアカウントがあればどれか1つは全部的中するアカウントになる)
 
もっともこれは誰も見ていない場合に限られるので、もうちょっと頭を使うことになる。
ここで肝心なのは地震の前に予言をしていた、という記録を残すことだけが目的であって「誰かが事前に見ていた」ことは重要ではない。
 
実際のウェブ記録がどこまでされるものなのか素人の自分には正確にはわからないのだが、そういった手口で預言者を公言しているページは実在する。
興味がある方は「地震 予言」でウジャウジャと出てくるイカガワシイ内容をザーッと読んでみるとよいだろう。
さらに複雑な手口を使ったインチキな人もたくさん暴露されているので、さらに興味があれば検索ワードを絞り込んでいけばよいだろう。
  
ねずみ算を逆に応用した「逆ピラミッド」というペテン詐欺の常套手段もこれに近い方法であるが、あまりにシンプルな手口なだけに引っかかった当人はなかなか気がつけないそうだ。
 

まとめる。
 
地震の予測や予知というのは現在の科学では今のところまだ不可能のレベルである。
南海トラフや東海大地震が30年前から予測されていながら未だに発生せず、その間に阪神大震災、中越大地震、東日本大震災、そして今回の熊本大地震などが起こっている(予測ができていない)ことからもわかる通り、科学的根拠はまだ現実的とは言えない。
 
科学的には不可能だからとオカルト的予言をも否定することはできない。
 
しかし、多くの予言はジュセリーノ氏の例を挙げるまでもなく実際には当たっていないことが多く、また当たっていたとしても10の予言の中の1つか2つでしかない。
そして地震大国日本に於いての地震予言は上記の通り、その気になれば誰でもかなりの確率で的中させることができてしまう。
 
被災地の皆様は誤った情報に翻弄されることなく、1日も早い日常への復帰を重ねてお祈りしたい。
 
またこれを読んだみなさんは、天災につけこんだペテンや詐欺にひっかかることのないよう、ちょっとでも怪しいと思った情報に関しては今一度疑ってみるぐらいの慎重さをもっていただけたらと思う。