映画「アイアムアヒーロー」を語る

ゾンビ映画を愛してやまない僕なのであるのだが、どうもこれまでの和製ゾンビ作品というのは相当のゾンビ愛を持ってみないことにはもうどうしようもなくグダグダな作品がほとんどであったように思う。
チャチな作りをトホホと笑って許す見方しかできないような作品も少なくなかった。
 
火葬の慣習があり銃砲の所持の難しい国ではダイナミックなゾンビの世界は描きにくかったのだろうか?
どうしてもパッとする作品が出にくい土壌だったのも仕方がなかったのかもしれない。
そんなショボイ環境に突如旋風が巻き起こったのは2009年。
花澤健吾の「アイアムアヒーロー」が、そんな停滞した日本のゾンビ事情に風穴を開けた。
 
……とマンガの紹介をここで繰り返してもアレなので、興味のある方はWikipediaでも試し読みでもして確認していただきたい。
原作を知っている方なら「大幅に省略しながらも御殿場アウトレット、8巻あたりまで」と書けばよろしいだろうか(笑)
 
尚、これから原作を読もうと思っているあなたに一つだけアドバイスを。
1巻だけは最後まで読むのに相当の根気が必要かと思われる。
かな〜り動きの少ないグダグダした描写が延々と続くのだが、1巻の最後の数ページから坂道を転がり出すように物語が動きだすのでそこまでは根気強く読み進めて欲しい。
ジェットコースターでいうところの「巻き上げ」のようなもの、後の急展開をしていくための“位置エネルギーの確保”のようなものだと思っていただければよいのではないかと思う。
 
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大好きな原作の映画化というのは誰しも必ず期待と不安を同じぐらい持つのではないだろうか?
僕にしても過去に何度も期待してはガッカリしたり、不安でいっぱいからいい意味で裏切られたことへの歓喜に満たされたりしてきたのだが、今回の「アイアムアヒーロー」はもう、ただただ絶賛しか思いつかない。
 

ところで僕には映画を見終わった時の周囲のお客さんの感想になんとなく聞き耳を立てる癖があるのだが(笑)、原作の大ファン、バイオハザードやウォーキングデッドからゾンビにハマった比較的新参のゾンビファン、長澤まさみの大ファン、大河ドラマの大泉洋が好きな初老の方と思われる方々などの意見を垣間聞いた(笑)。
 
「原作はしょりすぎ!」
「もっとゾンビがたくさん出てくるかと思った」
「長澤まさみは美しい」
「大泉洋はこんな映画に出ちゃイカン!」
「・・・・・・(喜びに打ち震える興奮と満足の表情)」←俺だ(笑)
 
これらの方々に一応長年のゾンビファンから一言申し上げておきたい。
長澤まさみサンが美しいことに対しての異論はないし、大泉洋さんの演技力がこのような極限のパニック映画に生かされることへの驚きもごもっともであると思う。
ここまで異議はない。
 
まずは原作との比較だが、大幅にはしょって改変しないことには2時間ではとてもじゃないが収まらない。
ウォーキングデッドのようにトータル100時間使っても良いならば描き方も丹念に、それこそゾンビが一度も出てこないような人間劇だけで80話を超えるエピソードの1つを費やしての精密描写もできるものだが、8巻までの1000ページを超える原作量を2時間で描けるわけがないのだ。
 
そこには大幅な省略や大胆な削除が必然となってくる。
 
むしろそれらをやらずに無理につめこみすぎると映画「ダ・ヴィンチコード」のような悲惨なコトになってしまう。
(あらかじめすべての謎を最初から知っているかのような即答に次ぐ即答でもはや謎解きでもなんでもないレンジでチン的なお粗末な展開だった)
 
 
もっとゾンビが……という意見にはちょっと呆れてしまった。
確かに1万体のゾンビという描写はウォーキングデッドやバイオハザードでもあったけれども、2体のゾンビと格闘するイメージを頭の中で描くだけでも何度も失敗するような、ある意味リアルな心情をこれでもかと描いた今作品を見てのその感想はあんまりだろ!と思う。
 
もちろんそういう事情だからゾンビが少なくて良いと言いたいわけではない。
 
1万のゾンビはきっとこの世界にもいる。
でもそれを描かないから不満というのはあまりにも短絡的であろう。
 
そういった視点で見れば100体ぐらいのゾンビであっても十分すぎるぐらい大群であり、「ゾンビが足りない」と思ってしまうのはあまりにも想像力が貧困すぎやしないかということを言いたくもなってくるのだ。
 

ゾンビ映画なのに出てくる銃はたったの一艇のみ。
他の実践的な武器はクロスボウぐらいで、あとは結局トンカチや金属バットやゴルフのドライバーぐらいしかないのが日本だ。
しかしだからこそ、その銃を中心に人間模様が激しく動く。
銃こそが最終兵器のようなものだからだ。
 
ちなみに「銃砲所持許可証」にこだわる主人公の言動は原作でも映画でもかなり執拗に描かれている。
 
そしてこの銃がなかなか発射される機会が来ないのがまたもどかしい。
 
しかし、威力を発揮した時の迫力と爽快感。
これは過去のゾンビ映画すべての中で最高の瞬間だったと思う。
このカタルシスの解放感は「宇宙戦艦ヤマトの波動砲」「水戸黄門の印籠」「エヴァの暴走」クラスであった。
 
そしてハンマーやナイフでのゾンビとの格闘のリアルさ。
これなどはウォーキングデッドを凌駕するような描写だったと思う。
 
ウォーキングデッドでは後半ともなると手慣れた人々はゾンビの額にナイフをサクッと刺していとも簡単に仕留めてしまうのだが、実際は頭蓋骨もあるわけだしそこまで簡単であるとも思えないのだ(^^;
 
そこが今回の「アイアムアヒーロー」は臨場感がありすぎてどうにも痛々しいというか……見ていて何度ものけぞってしまうぐらいリアルに感じた。
やはりトンカチのリーチの短さではゾンビはなかなか倒せないし、ゴルフクラブの軽量化っぷりもまた見ていて非常に弱々しい。
オモチャのエアガンはもはやギャグでしかなかった(笑)。
 
 
やばい。
原稿用紙5枚分では全然語りきれない!
 
 
VAMPS福岡公演の近づく慌ただしい時期ではあるが、早起きして書いている(笑)
当然、つづく!