字幕と吹替

「エイリアン2」のブルーレイBOXが発売されるらしい。
 
この映画、30年前に映画館で見たのだが、風の音がとにかく怖い映画だった。
その後DVD特典のメイキングを見て初めて知った事実なのだが、あれだけウジャウジャいた印象のエイリアンが実は6体の着ぐるみをやりくりして撮影していたこと、驚くほどチャチな特撮やハリボテのようなエイリアンクイーンなどの負の要素がたくさん暴露されている。
早い話が思ったよりも低予算で作られていたようなのだ。
しかし監督の力量と撮影センスでそれらを見事に逆手に取った素晴らしい映画となっている。
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大群で迫ってくるエイリアンの描写を「動体センサー」の画面と接近音だけで表現したのがとにかく秀逸!この映画が後世どれだけの作品やゲームに影響を与えただろうか?
 
タイタニックやアバターといった輝かしい功績を持つジェームズキャメロン監督の若き情熱が封じ込められているSFホラー映画の傑作である。
 
ところで今回発売されるBOXの内容がかなりユニークだ。
日本語吹替版6種類を集めたというなかなかのマニアックっぷりの企画だが、どれだけの需要があるのか不思議な気持ちになる。
僕は通常盤レーザーディスクと完全版のDVDを何回も見返しているこの映画の大ファンなのだが…日本語吹替にそこまでの思い入れはないので、紹介しておきながら多分買わないと思う(笑)。
 
 

さて、映画の字幕や吹替にはいろんな意見がある。
 
僕の場合はそこまでのこだわりはないのだが、基本的に字幕で見ることが多い。
ハリソンフォードやシュワルツェネッガーなど、小・中学生の頃から聞き馴染みのある声の俳優さんが別の声で日本語をしゃべることに違和感を感じてしまうからだ。
逆にテレビの吹替を見て育った007シリーズのショーンコネリーやロジャームーア、あるいはチキチキマシン猛レースやスヌーピーといった洋モノアニメなどは英語に違和感を感じることもあるが(笑)。
 
 
一方で日本語吹替を敢えて選ぶこともある。
大きく二つの理由があるのだが、まずはIMAXなどの巨大スクリーンで視界いっぱいの大迫力画面を楽しみたいとき。
IMAXシアターは劇場内でアナウンスしている説明通り、映画鑑賞の枠を超えた「体験」に近い。
迫力のある画面に釘付けになっていたい、五感でフルに作品を感じていたいのだ。
セリフの度に字幕に視線を移すのがどうにももったいないと感じてしまうし、実際巨大スクリーン内で視点の移動をずっとやっていると疲れてくる。
 
日本語吹替を即否定する派の方が多いのは承知しているが(笑)、IMAX鑑賞時にはネイティブ言語をお勧めしたい。
(吹替版上映が午前中に一回だけだったりする需要の低さが納得いかないのだが)
 
もう一つはセリフが重要となる複雑な人間ドラマや法廷モノ、あるいは解説の多いドキュメント系の映画など。
これらのジャンルはどうしても字幕を読むことに終始してしまう印象がぬぐえない。
物語を理解することに必死で、映像の印象が残りにくいのだ。
こういったジャンルは近年映画館で見ることを放棄するようになった。
反則かな?という自覚がありつつも、一時停止して考えたり巻き戻してチェックし直したりすることのできる視聴方法が僕にとっては望ましいスタイルのようだ。
 
 

 
それぞれの欠点も挙げてみる。
 
字幕版の欠点はやはり「文字数制限」による翻訳の限界だろう。
日本でもっとも有名な翻訳家といえば戸田奈津子氏だろうが、英語を勉強した人から「間違っている」と言われる傾向が強いようだ。
ちょっと検索するだけでも鬼の首を取ったような酷評ばかりヒットする(^^;
 
しかし「1秒4文字、1行10字〜11字、最大2行まで」という字幕制約の中での翻訳というのはかなり特別なルールだといえるし、ダジャレやその言語特有の言い回しやスラングなど、翻訳という作業がいかに大変であるかは想像に難くない。
 
日本語と英語の逆パターンを考えればわかりやすいと思う。
飛行機内で邦画を選ぶと強制的に英語字幕が入っていることが多いが、「あのね…わたしね……」といった含みのある言い方が「by the way…」だけだったりすると「えーニュアンス違うしぃ」と思うし、ヤクザの凄みあるセリフも「You must learn to value our Yakuza code over your individual desires.」なんて字幕だと、ちっともそれっぽい感じがしないんである(笑)。
 
つまり制約だらけの他言語というのは、驚くほどにニュアンスが伝わっていないように思うのだ。
 
 
一方の吹替版にしても問題は多い。
「ハリーポッター」のスネイプ先生役の故アラン・リックマンなどは、あの独特の声が大好きな俳優さんでもあったので、吹替版の違和感ときたらハーマイオニーの棒読み以上に気になったものだ。(十分似てはいるんだけど)
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(「ギャラクシークエスト」ではトカゲ頭の宇宙人博士を仕方なくやっている元舞台俳優という役を演じている。また「エイリアン」のリプリー演じるシガニー・ウィーバーまでもが完全なるコメディーをやりきっている。どちらのファンも必見の映画だ)
 
 
 
また数年前に流行った「ディラン&キャサリン」のようなコントにされてしまうほどに吹替版の抑揚のつけ方や雰囲気は一種独特で、やや制作サイドの手抜きや悪意を感じるほどだ(笑)。
僕は「ビバリーヒルズ青春白書」を見たことが一度もないのだが、ディラン&キャサリンのコントの面白さは完全に理解できていると思う(笑)。
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吹替版というジャンルがあるかのような、似たようなキャスティングだったり言い回しだったり…もっとバリエーションがあってもよいのではないだろうか?
もっとも芸能人だらけのキャスティングになってしまっても困るのだが(笑)
 

結論は……特にない(笑)。
 
字幕も吹替も長所短所がそれぞれにある。
英語の理解力をもっと深められたら一番いいとは思うのだが、映画のセリフをほぼ完璧に理解出来るヒヤリング能力というのはTOEIC800点を超える人であっても難しいらしい。
NHKのアナウンサーの読み上げるニュースをヒヤリングできれば日本語マスター!とならないのと同じようなものだろう。
 
字幕版吹替版それぞれの良さを生かしつつ悪い部分には目をつぶりつつ、今後もそれぞれとつきあっていきたいと思う。