ATフィールド

ずいぶん前に「下書き」をしたまま放置しているテーマがあった。
テーマが大きすぎてまとまらないというか、着地の方向性すら見えないままなのでちょっと書き足しては放置を続けていた。
 
ところが前回の献血について思うことを書いていたら壮大なテーマが案外小さな話で収束しそうな予感がしたので下書きを引っ張り出してまとめなおしてみたら……例によって1回では収まらなくなった(笑)。
多分2回でいけるとは思うが、とりあえず結論は漠然としたまま前半をあげてしまおう。
 

 表題の「ATフィールド」という言葉。
 
エヴァンゲリオンを見たことがない人でも一度ぐらいは聞いたことのあるワードなのではないだろうか?
正式名称は「Absolute Terror FIELD(絶対恐怖領域)」なのだそうだが、作中ではATフィールドとしか呼ばれていない。
エヴァ好きを自称する自分ではあるが、この正式名称は忘却の彼方であったし、またすぐにでも忘れてしまうことだろう。
 
TVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」は基本的には巨大ロボットがわけわかんない敵と戦うという軸で構成されているアニメなので、このATフィールドにしても前半は敵や味方ロボットの持っているバリアー的な表現でしかされていない。
 
エヴァファンの方からは「ロボットじゃない!人造人間だ!」とお叱りを受けそうであるが、そんなことはわかっている。
ここはあえてロボットアニメのくくりで説明しておきたい(笑)。
 
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僕も以前ATフィールドを中和、破壊したことがある。それにしてもヒゲ長いな〜(笑)
 
しかし中盤あたりからロボットアニメとは思えないような哲学的な内容にどんどん踏み込んでいき、やがてATフィールドとは「自我境界」といった定義が含まれるようになっていく。
ココロを閉ざした主人公の内面世界の描写も増していき、後半になってくるにつれもはやロボットアニメの体をなさないドロドロした内容になっていく。
 
精神が崩壊した主人公が「生命のスープ」として液体の中に溶け込んでしまったり、あるいは「人のココロを侵食する新しいタイプの敵」といった意外な攻撃手段で物語が進行するようになってくる。
 
そして最終的には「ATフィールドは人間誰しもが持っている心の壁なんだ」とカヲル君(ラスボス的存在)が言い切ってしまう。
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「Kaworu’s A.T. Field」で画像検索するとイカス絵がたくさん出てくる♪
 
巨大なエネルギーとエネルギーのぶつかり合いであったATフィールドが一転して「心の壁」?
「え?」となる第弐拾四話はTVシリーズの実質的な最終回でもあった。
 
なお「心の壁」についての考察は次回に改めてまとめてみたい。
 

60億の人間一人一人が融合して最終的に巨大な一つの“個”になったら?
 
エヴァンゲリオンの世界の中に出てくる「人類補完計画」というのはまさにそういった恐ろしい話なのだが、こういった考え方自体はエヴァが元々のオリジナルというわけではない。
古今東西いろんな創作物の中にも同じようなテーマは数多くある。
 
僕の中で印象的な小説を二つ挙げるならば、筒井康隆「幻想の未来」とクライブ・バーカー「丘に町が」だろうか。
 
「幻想の未来」は「人類が一人の子供しか産めなくなる」となった近未来の話で、逆ねずみ算的に人類が1世代ごとに半数に減っていき、わずか数百年後にしてついに人類最後の二人から人類最後の一人となる子供が生まれてくるという話。
その赤ちゃんはあらゆる人種、あらゆる人間の特徴を併せ持った究極の人類として産声をあげるのだ!
 
 
もう一方の「丘に町が」の原作者クライブ・バーカーは映画「ヘルレイザー」の監督として有名だが、彼の描くダークファンタジーの世界は実に独創的な魅力に溢れている。
彼の短編集「血の本」はどの作品も強烈なヴィジュアルイメージが脳内に広がる。
 
「丘に町が」は、10年に一度隣り合った村同士で行われる儀式的な格闘の話なのだが、その方法がぶっとんでおり「村人全員が合体して一人の巨人となって闘う」というものなのだ。
パーツパーツに分かれた人々は「闘う」という意思疎通の元で「一つの個」となるのだが、これがエヴァの動かし方になんとなく似ているのも興味深い。
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(原作からインスパイアされたファンアートの中の一つ)
 
どちらも高校生かそこいらの頃に読んだ数十年前の小説なのだが、きっといろんな作品に影響を与えているのだと思う。
 
先日紹介した映画「アイアムアヒーロー」の原作マンガもゾンビものからどんどん大きなテーマに移行しているが、やはり共通点のようなものを感じている。
ある意味「人類補完計画」をキッチリ遂行しているような展開なのだが、ここまで話が大きくなってくるとキチンと着地できるのかやや不安になってきてもいる(笑)
 

壮大なスケールから一気に日常レベル、といったギャップ差の話をしたいわけではないのだが、人類とかの大きな話題から次回は一気に人の身体まで話をスケールダウンさせて同じテーマを考察してみたい。