細胞

壮大なテーマから一転して“個”としての人間について考えてみる。
 
心の壁というと大げさに思えるかもしれないが、我々は一人一人小さな防御壁を持っている。
 
例えば初対面の人に接する時の態度。
これなどは実にわかりやすい「心の壁」なのではあるまいか。
人見知りの人が様子を伺うように慎重に対処する様などはまさに「ATフィールド全開!」といった印象だろう。
 
また仕事の上でハッタリをかましまくるタイプの人間、これなどは実にトゲトゲした形状の壁のように思う。
 
あるいは「脳ある鷹は爪を隠す」と言えば聞こえは良いけど、見方を変えればなるべく面倒臭いことに巻き込まれないように静観しているようなズルいタイプの人などは、無色透明だけどもよく見ると複雑な形のバリアーのように思う。
 
エヴァンゲリオンの世界観はロボットアニメであると同時に人間の葛藤を描いた作品という側面があるが、一説では登場人物一人一人のモデルは全て「庵野監督自身の葛藤」と分析されていたりもする。(本当のところは監督本人に聞いてみないとわからないことだが)
 
人間同士の関わり方が不器用であることが絶対条件であるかのような問題児パイロットたちというのも面白い設定だ。
 
心の壁について言及していっても面白そうな話題だが、さらに話は別の方向に流れる。
 

cells
 
人間はDNAという設計図を基に体が組み立てられており、常に細胞が入れ替わり続けることで個を形成している。
 
細胞の入れ替わり速度は大人になるに連れゆっくりになるそうだが、子どもの頃などはものすごい勢いで新陳代謝を繰り返しているそうで、比喩ではなく1ヶ月前の自分の身体とはまるで別物、細胞はほぼ全て入れ替わっているらしい。
  
体を形成する細胞の総数は推定37兆個!
ATフィールドのような自我境界を保ちつつもそれらの中の7000億個が日々入れ替わり続けているのだ。
 
そう考えると生命とは本当に神秘的な存在であり“人の造りしもの”がいかに単純な構造であるかがわかってくる。
 
また人間にはトカゲや両生類やナメック星人(笑)などが持つ「再生能力」はないが、ちょっとした細胞の破損などは元に戻る。
 
漫画家の岩明均氏は「寄生獣」完結後に親指の先をナイフで爪もろともザックリと切ってしまい、レモンの種程度の組織を失ってしまったそうなのだが、その後傷はみるみると治り肉も盛り上がり最終的には指紋まで元通りになったそうだ。
 
「人間対自然なんておこがましい。人間そのものが十分自然ではないか」
 
漫画のテーマに沿ったとんだオチがついてしまったと本人が苦笑まじりにあとがきに書いておられた。
 

さて、細胞の新陳代謝の話のスケールを大きくしてみると、生物そのものも世代が交代するという流れがある。
 
自分は父と母から生まれ、その父と母も父と母から生まれ……といった気の遠くなるような連鎖から生まれてきた自分がいる。
「だからご先祖様に感謝しなさい」というありがたい教えもあるが、この連鎖は未来方向にも続いている。
 
自分はあくまでも血を受け継ぐ一つの“個”でしかなく、さらに無限連鎖の“通過点”に過ぎないとも考えられる。
 
通過することを選ばずに自分の代で流れを止めたとしても、枝分かれした別の流れは兄弟や親戚などによって並行して受け継がれていることだろう。
 
 
さらにスケールを大きくしてみる。
「自分は100万年単位で長生きをしている人類という個の一部で、ほんの数十年の間だけ生かされている小さな小さな細胞」という自覚をしてみると、結構面白い。
 
キリストが生まれてからわずか2000年ほどしか経っていないが、原始時代からカウントすると人類は既に結構長生きをしている。
その説は5万年〜600万年というかなり広い振り幅の学説があるみたいだが、仮に両極の中心となる300万年としてみよう。
 
300万年を人生80年に置き換えた場合、我々の生きる80年がどれだけのスケールタイムになるかというと……(わかりにくいですかね?)
 
人類300万年の歴史の中では1年が37,500年、1日が102年相当となるので、80年の生涯の中の任意のタイミングで細胞として生まれてもわずか19時間後には死ぬといった感じとなろうか。
 
はい、わかりにくいですね(笑)
 
こういったスケール感の大きな単位の話をするときは、みなさんの大好きな「円」に単位を置き換えるだけでビックリするぐらいわかりやすくなるので早速実践してみよう。
 
人類300万円の歴史の中のあなたの人生80円!
 
地球が生まれて46億円の歴史の中のあなたの人生80円!
 
宇宙が生まれて138億円の歴史の中のあなたの人生80円!
 
そう考えると有史がいかに最近の話であるかが実感できることだろう。
 
キリストが生まれてから2000円!
源氏物語が生まれてから1000円!
江戸時代の終焉から148円?
 
うわっ!江戸時代激安!(笑)
 
ということは江戸時代が終わってから99円で僕は生まれたということなのか?(現在49円)
 
みなさんもご自身の「安さ」を一度実感されてみてはいかがだろうか?(笑) 
 
 

 
なんてことを献血をするバスの中で、自分の体内から抜き取られている血の流れを見ながらふと考えてしまった。
 
自分たらなんてちっぽけな存在なんだろうか……_| ̄|○ 
 
と落ち込む方向にいくのはよろしくない。
 
むしろ、
人類全体にしてみたら負担軽いなぁ(^^
もっと好きなことしちゃおうっと!
 
ぐらいに思うのがよろしいかと思う。
 
大きいんだか小さいんだかよくわからない話となってしまった。