タケコプター

ドラえもん」を知らない日本人もいないだろう。
僕は藤子・F・不二雄先生の大ファンである。
こども向け漫画の第一人者、まさに神様のような存在である。

一般的に漫画の神様といえば手塚治虫氏とされているが、僕の中でのナンバーワンはダントツで藤子先生だ。
ドラえもんに登場するひみつ道具は2000~3000個に及ぶそうだが、自由な発想で生み出された発明品の数々はどれもユニークで魅力的だ。

もちろんその全てが実現できるものではないし、実際実現できるモノの方が少ないだろうけれども、既に実現している発明品も数多くある。
https://www.change-makers.jp/technology/10978(ドラえもんですでに実現された「秘密の道具」35選)


今日言及してみたいアイテムは誰もが知っている「タケコプター」について。
頭にポチッとつけるだけで自在に空を飛ぶことができる画期的な発明品だ。

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特に操縦を意識するようなことはないらしく結構なスピードで飛ぶこともできる。
参考までにあのコンパクトなボディーで8時間の連続飛行ができるとのこと。
そのままの形状で開発されるとも思わないが、いつかは近い用途のモノが実現するのだと思う。

 

現代の文明を基準にこういったアイディアを否定することは実に簡単なことだ。

あんな小さなプロペラで揚力を得ることができるはずない、で話は終わりだろう。

タケコプター否定論でもっとも有名なのは柳田理科雄氏の「空想科学読本」での指摘、「プロペラの回転力によって飛ぶのなら体ごと空中に持ち上げることはできず、使用者は体がばらばらになって死亡した挙句頭皮だけがはがれて飛んでいってしまうだろう」といったもの。

なんともヒドい話だ(笑)。

空想科学読本は僕自身好きな読み物でもあるし、著者が確信犯でやっていることもわかっているので、この否定論に悪意があるとは思っていない。
「現代の科学で再現するならば」といった仮定の時点で、もうその仮説はおかしくなるに決まっているし、むしろその矛盾を笑いに変えている読み物であるようにも思うからだ。

前回も例に挙げた「64ギガバイトのUSBメモリー」を現代の我々は2千円以下で買い求め普通に使っているが、例えばこれを昔に戻してその時点の技術で再現してみたらどうなるだろう?

ここ30年の1ギガバイトの値段の変動
1981 $300,000
1987 $50,000
1990 $10,000
1994 $1,000
1997 $100
2000 $10
2004 $1
2012 $0.10

単純に3,000万円していたものが10円になったのだ!

1994年から2004年の10年間で1000分の1、さらに10年で計10000分の1まで暴落していることになる(笑)。

ちょうど20年前ということで1ギガ1万円としてみても64万円。
そこまではいいとしても、USBメモリーのような小型化するのはその当時ではどうにも不可能だ。

「切手サイズの小さなカードが1ギガ以上のメモリーを持つ時代がもうすぐ来る」
なんて実にドラえもんっぽい表現の予想がされたものだが、その後10年経たずしてSDカードは発売され、現在はさらに小さなminiSD、microSDにもなっている。

sdcard


タケコプターに関してはどうだろうか?

まずタケコプターの浮力はプロペラの回転によって得られているものではない。
装着した時点で反重力場が発生して体重が無効化される。
その上でプロペラの回転で推進力を得ているのかもしれないし、あれすらもただの飾りというか電源ランプのような確認のためのもので、実際は全然違う発想のエネルギーで飛んでいるのかもしれない。
いずれにしても現時点の我々人類では想像もつかないような技術を用いることになるのだろう。

しかし300年前の江戸時代の人からしてみたら我々の生活は完全に理解できない不思議な世界と感じるのは間違いない。

夜になっても暗くならない家や街、自動車や電車を見ても理解不能だろうし、離れた人と通信ができること、テレビはもちろんインターネットなどは概念そのもの、つまり何かに置き換えて考えることすらできないように思う。

300年後の未来の世界からすれば、現代文明とて同じような過去になっているのだろう。


藤子先生の異色SF短編集に出てくる“ヨドバ氏”という未来から来たカメラのセールスマンは、
「原理を説明してもどうせわからないでしょうけれども……」
と前置きをしてから“撮った写真がすぐ立体化されるカメラ”や、“既にある写真を撮ると前後の音が再生されるようになるカメラ”などを売ろうとする。(凄く画期的な商品なのに現代人の食いつきが悪く値切られてばかりいるのが面白いシリーズでもある(笑))

しかし藤子先生自身の中ではただデタラメを描いているわけではなく、彼独自の発想力の範囲内に収まっているアイディアだとも思うのだ。IMG_9540

(↑この理屈だと現代のデジタルカメラでは音の再生は難しそうだが)

 

1989年版の異色短編集1,2,3は一体何度読み返したことだろうか。

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ドラえもんの作者だけあって藤子先生の作品にはタイムトラベルモノやファンタジー系の話も多いが、高度な科学知識を要するような話も少なくない。

膨脹宇宙や相対性理論のウラシマ効果などが物語の中で使われているが、あの親しみある絵のタッチと読みやすい内容でわかりやすくSFを楽しませてくれる。

「みどりの守り神」「宇宙人」「未来泥棒」「ひとりぼっちの宇宙戦争」などは、そのどれもがハリウッドで映画化されてもおかしくないような素晴らしく面白い内容である。

2011年から順次発売された異色短編集は4つに増えて編集し直されているようだ。
興味のある方は是非読まれてみることを強くオススメする。


藤子先生が他界されてしまってから今年で20年になろうとしている。
しかし先生の作品は今もなおテレビアニメや映画、CG作品になったりTOYOTAの実写CMになったりもして愛され続けている。

先生の作品に影響を受けた人は数え切れないほどいることだろう。

そしてこれからも日本に限らず世界のこども達にも影響を与え続けていくに違いない。