G

先日家の中にゴキちゃんが出た。
 
幸い僕はゴキちゃんに対して強い恐怖心や危機感を感じない人間のようだ。
酔っ払っていたので一旦は放置したのだが、間抜けにもノコノコと目の前に再登場したのでティッシュでつまんでいっちょ上がりなものである。
 
 
思い返せば学校で職場で外出先で、ゴキちゃんが出るたびに僕はヒーローになれた。
ゴキちゃんからキャーキャー逃げ惑う人を尻目に、殺虫剤も使わずに至近距離でゴキちゃんを撃退した後に周囲から注がれる尊敬と感謝に満ちたアツい眼差しはなかなかの快感だった。
「抱かれてもいい!」と思われたことも一度や二度ではあるまい←
 
飛行機の中で「お客様の中にどなたかお医者様はおられませんか!」とスッチーさんが呼びかけ「私でよければ…」と手を上げるカッコよさに匹敵するカッコよさであろう←←
 
ゴキちゃん(一応読者のみなさんが少しでも嫌悪感を感じずに済んだらと愛称で呼ぶことにしております(笑))は、そういった意味では僕を年に一度ぐらいの頻度でヒーローに仕立て上げてくれる良きヒールでもあった。
IMG_9557
 
なお、本気を出せば素手での直接対決も可能だが、それをやると本気で嫌がられるので主に新聞紙や雑誌等を近接戦闘ウェポンとして使用している。
 
 
そういった裏事情のことはさておき、今日はゴキちゃんの立場にたって人間に冷遇されている身の上を代弁してみたい。
 
なお、ゴキちゃんが嫌いで今おそるおそるこのブログを読んでいる方には↑上の落書きを上限に「グロ描写一切なし!」と断言しておくので安心していただきたい。
 

まずはそもそも、ゴキちゃんはなぜにそこまで嫌われているのか?
 
すばしっこい、油ギッシュで気持ち悪い、カサカサ音だけでも気味が悪い、長い触角がまた気持ち悪いとさんざんであるが、これこれこうだからという正当な理由で嫌いというわけではなさそうだ。
 
意味も理由もなくただただ嫌いだ、という譲歩の余地一切なしの本能的なもの。
おそらくは“生理的嫌悪感”というのがもっとも正しい表現なのだろう。
 
 
最近このブログに度々登場する「エイリアン」だが、このエイリアンのモデルにゴキちゃんが含まれていることをご存知であろうか?
Alien1
 
エイリアンデザインを手がけたHRギーガーは「嫌悪感」と「エロティシズム」の融合、「エログロ」と言ってしまうと下品な言葉になってしまうが、それを高次元なレベルでデザインし続け、あのような最終形になったそうだ。
(ちなみにエイリアンは卵から孵化し数段階の変態を繰り返していくのだが、途中段階で「え?いいの?」と思ってしまうぐらいかなりエロキワドい形状になったりする)
 
確かにエイリアンの不気味さを一つ一つ考えてみるとゴキちゃんとの共通点が多い。
黒光りした硬そうな全身、ちょっとした隙間に逃げ込む素早い動き、異常に強い生命力、目がなく何を考えているのかわからずやたら強い(念のためゴキちゃんには一応目はある)。
 
強酸性の血液は宇宙船の隔壁を溶かし、人間を大やけどさせ、卵から孵化した幼虫は人間に寄生し腹を食い破って出てくる。
そこまでのおぞましい要素はさすがのゴキちゃんにもないが、人間が抱いているゴキちゃんへの嫌悪感は結構それに近いものがあるのかもしれない。
 
こういった根源的な生理的嫌悪感は説得して払拭されるようなことはないだろう。
「動いてなければメスのクワガタとそんなに変わらないよぉ?」と言った無駄な発言はするまい(笑)。
 

ところでみなさんはゴキちゃんに対していろいろ誤解しておられることが多いのでいくつかちゃんと説明しておきたい。
 
1.汚い?
ゴキちゃんは不潔な生き物だと思っている方が多いが、これは正確には違う。
不潔感のある場所を好んでいるだけであって、彼らに特に強い毒性があるわけでもなく、また一般的なバイキンは保有しているが、それはなにもゴキちゃんに限ったことではない。
ゴキちゃんを媒介とした伝染病が過去に流行したことなど一度もないのだ。
 
一方でネズミを媒介としたペスト菌は14世紀の大流行で当時の人類の総人口4億5千万人を3億5千万人に減らした。
1億人!もはや日本全滅レベルである。
今の人類に換算すると……15億人!
 
しかし現代の人類にとってもっとも危険な生物はネズミではない。
今も尚もっとも多くの犠牲を出し続けているのは“蚊”である。
マラリアに代表される人類の脅威となる病原菌を媒介する蚊によって、毎年70万人以上の人々が命を奪われているのだ。
 
それと比べればですよ?
台所の隅にチョロッと出てきて脅かされるぐらい、なんてことはないのである。
 
2.凶暴?
とんでもない。ゴキちゃんは逃げ惑っているだけだ。
人間を攻撃する意思は全くないばかりか、物陰でヒッソリと実に控えめに生きている善良でささやかな生き物なのだ。
スズメバチやカミキリムシなどがかなり積極的に人間を攻撃してくることを思えば彼らはかなりおとなしい。
 
ちなみにゴキちゃんはとても頭が良いので、最大限の回避行動を取ろうとする。
普段は飛べないのだが、絶体絶命のピンチの時のみ羽根を広げて飛ぶことができる。
エヴァンゲリオン、スーパーサイヤ人並の凄い能力である!
しかも複数の人間に取り囲まれた時などは、一番怖がっている人間に向かって進むことで自分の生存率が上がることを彼らは知っているそうだ。
 
あくまでも攻撃ではなく防衛行動であることを忘れてはならない。
ゴキちゃんは先制攻撃はしないのである。
憲法第9条の拡大解釈も彼らには必要のない平和主義なのだ(笑)。
 
3.人類が絶滅しても生存し続ける?
人間よりも遥かに長い歴史を生きているゴキちゃんは驚くなかれ、約3億年前から生息しているそうである。
人間などそれに比べたらひよっこもひよっこの300万年(諸説ある中での中央値)、ゴキちゃんは100倍長く生きてきている大先輩なのだ。
 
元々ゴキちゃんは森の中の枯れ木を食べ物としている昆虫だった。
ただの枯れ木がたんぱく質として変換された上で別の生物に捕食される、という自然界の食物連鎖で重要な役割を担う昆虫なのである。
今も多くの種類のゴキちゃんはシロアリと共に枯れ木をせっせと食べて自然界のバランスを保っているのだ。
そういった観点では明らかに人類のほうが劣った生物、イラナイ生物だという見方もできる。
(※シロアリに関してもいつか語ってみたいお題である)
 
しかも人間が森林を荒らし、彼らの住処を奪い、仕方なく人間界に住まわされたともいえる。
なんと理不尽なことをしているのだ、人間という種は。
 
我々は自然界の中のか弱き一生物に過ぎない。
だからあんまりイジめるな。
 
これは漫画「寄生獣」の名台詞なのだが、全ての生物に当てはまるのだろう。
 

といった感じで今回はゴキちゃんについて語ってみました。
 
ちなみにわたくし、ゴキちゃんには無双っぷりを発揮できますが、その真逆のブヨブヨした虫はダメです。
すぐつぶれちゃうような芋虫毛虫系とか、クモとか、ああいうのには虫酸が走ります。
それに比べて甲虫の硬さ、頼もしさときたら!(*´艸`) ウットリ
 
また、いかんせんゴキちゃんに遭遇する機会が減ってきたので、大丈夫とはいってもいきなり出てこられれば一瞬ひるみます。
 
その程度の常人ですので、間違っても大量のゴキちゃん退治の依頼とかはしてこないようお願いします(笑)。