信心深きモンスター

悪魔以上に宗教観に縛られた要素を持つキャラクター。
言うまでもなくみなさんの大好きな吸血鬼、ヴァンパイアのことである。
 
このブログを読んでいるみなさんの多くはきっと、普通の人よりも吸血鬼について詳しいことだろう。
 
「もしも大好きなあの人がヴァンパイアだったら…」
 
な〜んて中二っぽい発想をしたことのある方の一人や二人、10人や100人はおられるかと思う(笑)。
 
以前ライヴのMCで解説したこともあるのだが、今日はヴァンパイアと呼ばれている彼らについて語ってみたい。
 

まずはヴァンパイアの特徴としてよく知られているのが、
 
○人の血を吸うことによって永遠に生き続ける

○死んでいるので歳をとらない
○人間の動きを超越した瞬間移動のようなことが出来る

○コウモリやオオカミに変身できる
 
といった羨ましい特殊能力を持っている反面、
 
○昼間は棺の中で眠っていなければならない
○十字架が嫌い

○ニンニクが嫌い

○聖水が嫌い

○日光を浴びると燃えてしまう
○木の杭を心臓に打ち込まれると死んでしまう
 
この辺りまではみなさんも知っているとは思うが、さらには、
 
○鏡に映らない

○招待されないと家の中に入れない

○バラの花が嫌い

○銀に弱い(狼男と同じ弱点?)

 
といった数多くの弱点を持っている。
 
特殊能力はかなり魅力的ではあるが、冷静に考えてみると弱点や欠点の方が多く、長く生き延びるのは人間以上に大変そうだということがすぐにわかる。
「バラの花が嫌い」にしても「苦手なんスよね〜」程度で済まされるものではなく、体に触れるだけでたちまち大やけどするぐらい負の要素、ヴァンパイアにとっては致命傷を負いかねない恐ろしい凶器となるのだ。
 

今回僕が特に着目したいのは欠点の中の「十字架」と「聖水」についてだ。
 
どちらもキリスト教信者にとってはお守りのようなありがたいものであるこれらが、ヴァンパイアにとっては忌み嫌うものとなっている。
聖水とは教会で配布されている神父様が祈りを捧げたありがたい水のことである。
 
宗教観の中での背徳的ポジションとして蘇ったヴァンパイアにとって、それらが負の要素となるのは納得はできるのだが……
それにしてもなんと信心深いモンスターであることか。
 
…思ってはいけないことなのだろうけれども、あえてこんなIFはどうだろう?
 
基本的に無宗教である我々日本人が吸血鬼となった場合、それでもやはり十字架を見たら拒絶反応が出るのであろうか?
 
聖水なんて見たことも触れたこともないぶっちゃけただの水道水だろーとしか思っていない我々でも、吸血鬼になったらそれでもやっぱり恐ろしい効力が出るのだろうか?
 

僕の大好きなヴァンパイア映画に「フライトナイト」という秀作がある。
 
 
かつては銀幕のスターだったヴァンパイアキラー役者のピータービンセント氏ではあったが、世の中はスプラッター映画ブーム。
ホコリくさい吸血鬼映画はすっかり人気もなくなり、仕事は減り唯一の出演番組も視聴率低迷で打ち切りとなり、かつての英雄はすっかり弱気なおじいさんになってしまっていた。
そんな彼に助けを求める高校生チャーリー。
チャーリーの頭の中ではピータービンセントは今もなお頼もしいヴァンパイアキラーなのだ。
高校生の妄想癖に付き合わされるのも迷惑な話だが、謝礼の数百ドルに目がくらんで即答で吸血鬼退治を引き受けてしまうビンセント。
しかしこのおじいさん、実のところ本当にヴァンパイアがいるなんて思ってはいない正常な人格の持ち主でもある。
適当にお芝居すればいいかぐらいの軽い気持ちでヴァンパイアだと言われてる男と対面してみたらば、本当にヴァンパイアではないか!さぁ大変!
 
というなんだかコメディーみたいな物語なのだが、実際半分はコメディー作品なんである(笑)。
「ある日隣にヴァンパイアが引っ越してきた」というなんともユーモラスな設定も魅力的だ。  
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(おおよそ英雄とは程遠い全力で逃げ腰のヴァンパイアキラー)
 
ところでこの映画には、僕の知る限りではこの作品のみに設定されている絶賛すべきヴァンパイアの能力に関する大きな変更点がある。
 
それは……
 「信じていない者の持つ十字架なんてちっとも怖くない」
そう言いながらイケオジ吸血鬼が十字架をあっさりと握りつぶしてしまうのだ。
 
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(あっさり十字架を壊され狼狽するヴァンパイアキラー)
 
これこそが僕が今回のシリーズで一番伝えておきたいことである。
やはりヴァンパイアは深い信仰心をベースに成立しているモンスターなのだ。
 
神も悪魔も信じるものがいて初めて存在する。
信じるものが誰一人としていなくなれば、神も悪魔もまた消えてしまうのだ。 
 
 

敬虔なクリスチャンである方は別として、我々多くの日本人が無意識に持っている宗教観では十字架のパワーを感じることもできなければ、聖水と水道水を見分けることもできないだろう。
となると、そういった信仰心を前提とした上で成立しているヴァンパイアには、そもそも日本人はなれないのではないだろうか?
あれ?これは問題発言になりますか?(^^;
 
大丈夫!
日本独自スタイルのヴァンパイアになるはずだ。
 
十字架や銀のアクセサリーをファッションとして身につけることも可能であれば、バラの花を手にとることも問題なし。
ニンニクはむしろ好物であるし太陽の光も平気であるばかりか、むしろ「晴れ男」として味方につけているフシもある。
 
誰のこととは言わないが、ジャパニーズヴァンパイアはもしかしたらそんな特性を持っているのかもしれませんぞ?
 

しかし、そんな彼らも吸血鬼の弱点をちゃんと一つ押さえている。
彼らが吸血鬼である唯一の証拠とも言えよう。
 
彼らの弱点をここで公開してしまうのは単なる裏切り行為でしかないのだが…
 
あえて秘密を暴露してしまおう。
 
上記の中にも含まれている弱点ルールではあるのだが、、、
 
○木の杭を心臓に打ち込まれたら死んでしまう
 
うん、多分死ぬ。
きっと間違いなく。
 
というわけで彼らがキッチリ吸血鬼である事実が証明されたところで今日のブログは終わりである。
 
次回はヴァンパイアにとって不可欠な存在についてと、オススメの映画を紹介したい。