ヴァンパイアの憂鬱

前回の予告通り、8月10日にアップした「信心深きモンスター」の続きとなる。
 
ところで更新が滞った。
いろんなヴァンパイア映画をおさらいして流し見するつもりが、ついつい面白くて最後までジックリ見てしまうが続いている。
チビチビお酒を飲みながらの深夜の映画鑑賞。
至福のひと時となるのは良いが、ブログ更新は遠のいていく。
まだ見たりないので、ブログ内容をまた二つにわけて前半だけでも更新してしまおう。
 

ヴァンパイアの魅力の一つに「永遠の若さが保たれるというものがあるが、それは特典であると同時にある種の宿命のようなものでもある。
 
ヴァンパイアは人間の血を吸って生き続けるモンスターであるわけだが、その辺りにいる人間を取って食べているわけではなく、言葉巧みに異性を誘い、妖艶な雰囲気の中で首筋をいただくというエロチックな描写が多い。
 
つまり男女どちらのヴァンパイアにせよ、異性にとって魅力的な存在であることが望ましい。
いかにもモテなさそうなブサ男では満足に血を吸うこともできない地味な吸血鬼生涯となりかねない。
ヴァンパイアにやたら美男美女が多いのにはそういったシビアな生存条件があるのかもしれない。
(しまった!温水洋一サンと村松利史サンの「オヤジヴァンパイアーズ」という冴えない吸血鬼コンビを想像してしまった!(笑))
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さて「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」という映画では、かなり込み入った手段の「吸血鬼が新たに仲間となる吸血鬼を生み出す方法」が紹介されている。
 
吸血鬼が人間の血を吸うと吸われた人間は失血死をしてしまうわけだが、血を吸われた人間が死ぬ間際に今度は吸血鬼自身の血を吸わせるという“血の交換”をすることによって新たな吸血鬼が誕生する。
 
映画の中では3回(直接的には2回)ほどこの“血の交換”が描写されているが、結構危険な行為であることが伝わってくる。
ヘタをすると新たに生み出した吸血鬼に血を吸われ尽くして自分が死んでしまいかねない雰囲気なのだ。
 
つまりゾンビのように噛まれたら自動的にゾンビ確定!といった簡単なことではないらしいが、この辺りはそれぞれの映画によって詳細は異なる。
 
ちなみにこの映画ではレスタト(トム・クルーズ)からルイ(ブラッド・ピット)という文句なくハンサムからハンサムへとヴァンパイアの血が受け継がれており、やはり上記の「美男美女説」をより濃厚に裏付けている。
「オヤジヴァンパイアーズ」のモテ度とは雲泥の差であろう(笑)。
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(後半に出てくるアントニオ・バンデラス演じるイケオジ吸血鬼のセリフにも「仲間のあいつらは美しくなくてイヤだ。その点お前はイイ!…」的なセリフがある) 
 

ヴァンパイアにとって見た目が重要ということがご理解いただけたと思うが、もう一つの要素として挙げられるのが「年齢」である。
 
上記の「永遠の若さが保たれる はすなわち「永遠に歳をとらない」ということでもある。
数ある特典の中でも特に女性にとっては魅力的な要素なのではないだろうか?(笑)
 
しかし自分がもっとも美しい頃にキッチリとヴァンパイアになれたのならともかく、お肌のハリに陰りが見え始めたあたりの微妙な時期だったらどうだろうか?
 
「くっ!あと3年早くなれていたら!」と微妙に悔しい感情が芽生えるのかもしれない。
 
男にしても「どれだけ食べても太らなかったあの頃だったら!」と、中年太りの腹を引っ込める努力を永遠にしなければならない数百年を味わう必要もなかったとか…
 
…といったくだらないことばかり思いついてしまうが、年齢による苦悩でもっともつらいのは子供のヴァンパイアだろう。
 
 
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」でレスタトが選んだ次の吸血鬼は可愛らしい少女クローディアだった。
 
「スパイダーマン」のヒロインMJ役で一躍有名となったキルスティン・ダンストがクローディアを演じたのは12歳の時。
 
永遠の命を手に入れた少女は数十年経っても少女のままの姿という“Vampire Depression”を見事に演じている。
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精神は十分すぎるほど成長し成熟しているのに、永遠の少女の姿である自分に不満を募らせ次第に残虐になっていく様はとても恐ろしく、トムクルーズを食いかねない狂気の演技はこの映画の大きな見どころの一つともなっている。
 
実際自分がもし12歳の見た目のままで成長が止まってしまったら…と想像してみると、「お肌のハリが…」なんて悩みは実に些細なことだと思えるだろう(笑)。
 
 
ところでこの映画、例の「ヴァンパイアの条件」をあまり忠実に守っていない。
「十字架やニンニクはただの迷信」という位置付けで、条件に適合しているのは「日光の光で燃えてしまう、血を吸う、棺桶で眠る」ぐらいであった。
何度も見ている映画なのに案外見落としているのだなぁと改めて思った。
 
(※「Vampire Eyes」という特殊な視力で夜の景色が幻想的に美しく見えるというロマンチックな設定は、藤子・F・不二雄「流血鬼(1978)」と同じである。ちなみに「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」の原作「夜明けのヴァンパイア」の発表は1979年で時期もほぼ同じ。日本の子供向け漫画を原作者のアン・ライスが盗用したとは到底思えず、二人の天才作家の想像力の一致はなんだか嬉しい気持ちになれる(^^)
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(これほど絶望的な状況からの意外すぎるハッピーエンドの吸血鬼作品が他にあるだろうか?) 
 

「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」
 
何度見ても「よくできた映画だなぁ」と唸ってしまうヴァンパイア映画の傑作だ。
 
僕の好きな「フライトナイト」や「ドラキュラ都へ行く」といったコメディータッチの亜流作品ではなく、かなりキチンと作られている映画だ。
 
ヴァンパイア映画としては異例の豪華キャスト陣に加え、ほどよい怖さとグロさもある太鼓判でオススメできる作品である。
 
 
次回はクローディアを大幅に上回る200歳の少女のお話から、さらにヴァンパイアにとってもっとも大切な存在についての考察をしてみたい。