F1と爆音

何年かぶりにF1中継を見た。(厳密にはダイジェスト)
 
TV中継としては格段の進化を遂げているF1ではあったのだが、やはり知らないドライバーが半数を占め、知らないチームがいつの間にか増えている感じ、走っているマシンを見ていてももはやフェラーリ以外のチームが直感的にわからなくなってしまっているというヘタレ具合で見るF1というのは、どうにもすっかり面白くないものになってしまっていた。
 
僕の20代〜30代中盤をあそこまで熱く滾らせてくれていたF1だが、残念ながら自分の中では「かつて大好きだったF1」とだいぶ前に既に整理のついていたものだったのだと改めて感じてしまった。
 
やや感傷的になるタイム(´・_・`)……
 
……すぐに復活して自己分析タイム(・∀・)
 
 
見ていて心ときめかないのはチームやドライバーがわからなくなってしまっているだけではない、別の大きな理由がある。
 
一番の違和感はやはりエンジン音の静かさだ。
 
F1のエンジン音がここまでテンションの低い音なのがどうにも見ていて滾らない。
 
しかし今年の鈴鹿最速ラップタイムは、かつてのセナプロ時代のファステストラップを暗記している身としては、まさに「信じられないタイム」でしかない異次元のタイムだった。
 
1991年にゲルハルト・ベルガーの叩き出した伝説の1’34.700
 
1021569
(このタイムはその後10年破られることはなかった)
 
一部コース改修が行われファステストラップの基準値が変わったとはいえ、いつの間にか現代F1はまるで別物のタイムに更新されていた!
 
今年のファステストラップはニコ・ロズベルグの1’30.647
161008162712
 
えええ!?こんな地味なエンジン音のクセにチョッパヤかよ!
 
たった4秒の差で?と思われる方もいるかもしれないが、時速300キロオーバーのF1では単純に1秒で83メートルとかの差が平気でつく。
 
コンマ01秒のギリギリの争いが繰り広げられる世界での4秒差というのは、これはもう完全に違うカテゴリーのようなお話になってしまう。
軽自動車とフェラーリぐらい、もしかしたらそれ以上に違うかもしれない。
 
 
ちなみにスーパーカーと呼ばれる車であるフェラーリポルシェの最高速度はF1に近く、時速300キロを楽にオーバーする性能がある。
1551436
(どちらにも乗ったことあるんだぜぃ(^^v…助手席だけどね(笑))
 
 
これらスーパーカーの鈴鹿のファステストラップ記録は以下の通り。
 
Ferrari Challenge(International):2’08.260
Porsche(Overall Class):2’05.055
86/BRZ(プロフェッショナル):2’30.964
 
ラップタイム2分を上回るカテゴリーとなるとフォーミュラカー以外ではGT500,300ぐらいなもので、バイクの最高峰でも
 
全日本JSB1000:2’05.192
 
この辺りが今の時点では限界タイムとなるようだ。
 
それに対してF1の歴代ファステストラップは2006年のM.シューマッハーが叩き出したコースレコードである
 
1’28.954 !!!!
 
「1秒で83メートルの差」の世界でこのタイム差がはいかに別次元の速さであるかが伺い知れる圧倒的な差だと言える。
※鈴鹿のF1平均速度は時速232キロなので1秒の差は64メートルとなる。細かいようだが念のため(笑)
 
ポルシェがいかに速いとはいえF1と同時にスタートをしたら、たった3周目というかなり早い時点で4周目のF1に周回遅れにされてしまうことになる。
 

しかし最高時速はほぼ同じなのに、これほどまでの差が出るのはなぜなのか。
 
それは、機動力だ。
 
車を運転する人なら当たり前に知っていることではあるが、急カーブを曲がるときはブレーキを踏んで十分に減速をしてからハンドルを操作して曲がる。
 
そうしないと曲がりきれずに車線からはみ出してしまうからだ。
 
フォーミュラカーはこの部分の性能が根本的に違う。
 
時速100キロ程度のレーシングカートでも旋回性能だけを見ればGTカーを軽く上回る機動性能を持っている。 
752718a3
(コンパクトなボディーだが超低重心&スリックタイヤの生み出す3Gを超える旋回性能と視点の低さの体感速度はもっともF1に近い体験と言えるだろう)
 
僕が初めて肉眼でF1マシンを見たのは1995年のことだが、ホームストレートを最高速度で走り抜けて1コーナーに進入していくアプローチを見た時には「うわぁ!いきなりコースアウトかよ!」と叫んでしまったものだ。
 
300キロで走る小さなマシンは信じられないスピードのまま1コーナーに突っ込んでいったのだ!
 
しかしわずかな時間でガクンと急減速&十分すぎるスピードのまま1コーナーをギリギリで旋回しあっという間に視界から消えていく。
 
これがF1か!
 
時速300→200→300キロという見たことのないスピードの加減速は実に不自然な光景であり、また時速150キロオーバーで急カーブをスイッと曲がってしまうマシンの姿は挙動不審を通り越えた、明らかに箱車とは違う動き方だった。
 
(世界有数の名物コーナー「オールージュ」の各カテゴリー比較)
 
80メートルの高低差のある世界屈指の急勾配をモノともせず駆け上がるパワー、またシフトチェンジが他カテゴリーとはまるで異次元であることが音からも確認できる。F1だけが早送りしているかのようなスピードだ。
 
(バイクVSスーパーカーVS F1。スタートは動画の1’49ぐらいから)
 
どのカテゴリーの最高速度が同じであったとしても、そこに到達するまでの時間がまるで違う。
 
0-100kmまでの加速性能は近年かなり近くなっているが、200-300kmといった高速スピード時や300-100kmといった急減速などの機動性が別次元に違うのだ。
 
F1の機動性能を基準にしてしまったらどんな車もダンプカーのような挙動に感じてしまうのだろう。
 

そんな凄いF1なのだが、2014年のレギュレーションの変更でエンジン音が2オクターブぐらい下がってしまっているのがありありとわかる。
 
(今まではF1のサポートレースでこういった違いを感じていたのだが…)
 
動画最後に出てくるHONDA V12サウンド、こんな凄い音のマシン達が80年代〜90年代は26台とかで壮絶な爆音追っかけっこをしていたのだ!
 
爆音視点で考えるならば90年代F1こそが最高にロックだった黄金期と言えるのだろう。
 
それが現代ではここまで静かなマシンになってしまい、しかしその静かなマシンがかつてのモンスターマシンを軽く凌駕している性能だというテクノロジーの進化に目を見張りつつも、こうなってくるともはや「テクノロジーのバカ…」である(涙)
 
 
きっと僕がF1の何が一番好きだったかって、それはつんざくようなエキゾーストノートだったんだろうなぁ…としみじみ思った。
 
※考え方としてはこの「ホンダミュージック」と呼ばれ愛され続けている「爆音」のエネルギーすら外に出さずに封じ込めパワーに変換しているのが現代最新技術なのだろうな…と正しくはないけどイメージとしてはきっとそんな感じなのだろう。
 
技術革新は大変喜ばしい傾向であるとは思うのだが、時としてエンターテイメント方向ではマイナスになってしまうこともあるのだ。
 
2016年のF1中継を見ながらつくづく思った。
 
 
なお、テレビ中継や上の動画にあるかつてのエンジン音も、現地で生音を聞く迫力はまるで伝わってこない。 
 
これは「ZEPPとMステぐらい違う」と言えば、爆音中毒者のみなさんなら非常にわかりやすい例えかと思われる(笑)
 
ライヴは生が最高だ。
 
と無理やりそれっぽい結論をつけて今回のブログを締めさせていただく(^^) 
 

F1日本グランプリは先週末に終わってしまい、すっかり旬を逃しての投稿となってしまった(^^;
本田宗一郎氏のことを熱く書いていたら熱くなってまとまらなくなってしまい、結局その部分は全部削除して上記の内容に変更したが、それはそれで熱くなってしまった。
 
本田宗一郎氏についてはまた別の機会に熱く語れたら…と思う。