月別アーカイブ: 2016年12月

整理整頓

年末といえば大掃除。
 
僕は基本的に掃除という作業が大嫌いだ。
几帳面な性格と思われがちだが、実のところマメな部分とズボラな部分が両極に偏り過ぎており、日常の生活に問題をきたすことが多い。
 
掃除に関しては例えば、パソコンやハードディスク周りは非常に合理的かつスッキリと整理されている。
バックアッププログラムが常に走っているし、パソコンのデスクトップが散らかっていることは許されない。
(ヤラセなしの僕のPCのデスクトップ)
 
大昔に読んだ記事に「人間が視覚的に瞬時に判別がつくのは6つまで」という整理術に深く感銘を受けたことも大きい。
 
そしてこういったパソコンの整理について考える度に思い出すことがある。
25歳の頃に所属していた事務所スタジオ内での「几帳面VSズボラ」の戦いの日々の話だ。
 
対戦相手は同業者マニピュレーターY氏。
 

当時その事務所にはマックが複数台あったものの、やはりどうしたってフルスペックのマックを使うのが一番効率が良く快適であったので、僕達は時間を決めて一台のマックを交代で共用して使っていた。
そこは問題ない。
(当時のマックとわたくし。若い!)
 
基本的には二人とも同じソフトを使っていたのだが、細かい設定などが違っているのでそれぞれ自分用のセッティングというものがあった。
これは起動するシステムを切り替えることによって簡単に解決できていた。
そこも問題ない。
 
問題はファイル管理の方法であった。
 
僕はフォルダーに日付とタイトルを入れるクセが当時からついていたし、デスクトップに余計なものがあるのを極端に嫌う潔癖性も当時からのものだ。
 
対する彼は細かいことは一切気にしない漢らしい性格であった。
いろいろ突っ込みたいことは沢山あったが、どうにも僕を混乱に陥れた大雑把っぷりとして、ファイルの名前がテキトーすぎるということがあった。
普通クライアントの名前とか、仕事の分野別とか、するものでしょう?(-“-)
 
ところが彼はどんな仕事であろうともファイルの名前はいつも「123」とつけるだけ。
マック以外の外部機器も123という名前のものばかり。
まるでドラクエの主人公に「ああああ」という名前をつける人みたいだ。
 
マックはシステム上、同じ名前のものを同一階層に置いておくことが出来ない。
「123」という名前のものを二つ作ることは結構やっかいに属することなのだが、なんと彼は「名称未設定フォルダー」を作ってそこに新たな123を作り続けた。
 
当然「名称未設定フォルダー」も同じ名前は存在できないから「名称未設定フォルダー23」「名称未設定フォルダー43」など、どんどんわけのわからないフォルダーが増えていき、デスクトップは「名称未設定フォルダーxx」だらけになる。
 
外部機器にも「123」「123copy」「123final」「123true final」などの名前が並んでいる。
 
たまに「456」という名前のファイルもあったが、僕からしてみれば「意味をなさない名前」であることに変わりはない。
彼はそんなズサンとしか言えないファイル管理で共用スペースを侵食しまくっていた。
(画像はイメージです)
 
しかしどうしてこれで仕事が成立しているんだろうか?
“あの123”と“この123”をどこで見分けているのか?
 
不思議で仕方がなかった。
 
 
しばらくしてその不思議の正体が明らかになる事件が起きた。
 
どうにもガマンが出来ずに僕がデスクトップに散らかっていた彼のそのファイルを「要整理!」と名前をつけたフォルダーにひとまとめに放り込んだ時である。
なぜそうしたかといえば、自分で作った新規フォルダーがどこに作られたかわからない程にデスクトップがゴチャゴチャになっていたからだ。
 
僕からしてみればデスクトップにあるものをフォルダーに入れてもまったく問題なしとしか思わなかったのだが、彼はどうやらデスクトップに散乱した細かな位置でファイルの把握をしていたらしい。
キチンと整頓されてしまったおかげでどれがどれがわからなくなってしまったと言うのだ。
 
そりゃわからなくもなるはずだ。
フォルダー名は「名称未設定フォルダーxx」、ファイル名は「123」しか存在しないのだから。
 
しかしこちらだって逆ギレである。
「うるせー!だったらちゃんと名前ぐらいつけろタコ!」
「そっちこそ締め切り守れカス!」
 
胸ぐらのつかみ合いに発展しそうな勢いの口論になったが、振り返ってみると実にくだらない理由であった。
 

そんな日々から25年。
今思えばその事務所にいたのは2年ほどの短い期間だった。
終わりがなく次々と入り続けてくる仕事をひたすらY氏と二人、信じられないような薄給でこなし続けていた「戦友」のような仲間である。
 
一週間会社に泊まり込んでひたすら締め切りに追われ気絶するように机の下で寝るような、、、、何日も風呂に入れず一日1回コンビニに行く以外はずっと作業しているような、、、、それが年間通してずっと続いているような、、、、
 
お互いに「二度とあの生活はしたくない」と断言できる程にすさんだ日々だった。
 
逃げ出すようにその会社をやめた後、二人とも同じ仕事を続けながらも離ればなれになっていたが、メールや電話のやりとりはなんとなく続けていた。
 
その後15年ぐらい経ちしばらくぶりにY氏の仕事場に行き仕事環境を見せてもらった時もデスクトップは相変わらず派手に散らかっており、
「123」「123copy」「123final」「123true final」などの名前が並んでいた。
 
性格もファイルの名前もまったく変わっていなくて大爆笑してしまった。
 
こんな大ざっぱな性格の彼なんであるが、ひとたび作業に突入すると僕などとは比較にならぬ程にきめ細やかで丁寧で繊細なデータを作りあげるようなマニピュレーターであり、僕の最も身近な憧れの人物でもあった。
 
 
そんなY氏ともさらに早10年会っていない。
しかし一つだけ確信することは、彼のパソコンのデスクトップは今も何も変わってないであろうということだ(笑)。
 
123
 
年の瀬ではあるが久しぶりに連絡を取ってみようか。