気まずい瞬間

みなさんは過去にこんなことが起きたことはないだろうか?
とある定食屋、中華屋、ラーメン屋など、どこにでもあるような街の飲食店の昼下がり。
慌ただしい休憩時間内に昼食を食べにと駆け込むように店内に入りメニューを見る。
 
本日のランチはAとB。
どっちでもいいけどじゃあ何となく「豚の生姜焼き定食」であるA定食を頼む。
待つこと数分で「はい!お待ちどうさま!」と出された料理は、しかしなぜかB定食のホイコーロー定食であった。
 
(え?頼んだのコレジャナイんですけど…)とは思ったけど、どちらも値段は同じだし店員さん全く気がついてないし、慌ただしい店内で間違いを指摘するのもナニだし、なにより自分にそこまでのこだわりがない。
 
まぁいいや、と気にせず食べはじめてしまう。
 
最近は小さな店でも販売管理が行き届いているし、チェーン店などはPOSシステムが確立しているので、このような店員さんのミスはあまり起こらないのかもしれない。
 
ひと時代昔はこういった間違いがよく起こっていたのだが、店員さんの単独ミスだった場合は自分が気にしない限りは特に問題とはならない。
 
しかし別のお客さんのオーダーと自分のオーダーがあべこべになった場合となると、別の展開に発展することがある。
 
そのお客さんが自分と同じく「まぁじゃあ別にいいや」となれば大丈夫なのだが、どうしてもホイコーロー定食を食べたい人だった場合は「え、ボクが頼んだのコレジャナイんですけど!」となり、それまでは慌ただしくも平和だったお店にモヤッとした気まずい雰囲気が漂い始める。
 
そして店員さんはハッとした表情でこちらを見るのだ。
視線の先にはこだわりのない僕がモグモグとホイコーロー定食を食べている。
 
僕はキョトンとしつつも事態を察し、わかっちゃいるけど「あああ!これは生姜焼き定食じゃない!ホイコーローだ!」と今更間違いに気がついたかのようなリアクションを小さくしてみる。
 
そんな苦しい挙動をする僕を恨めしそうな顔でチラ見しながら「申し訳ありませんでした。すぐに作り直してまいります」とこちらにハッキリ聞こえる声量で迷惑そうに言い放つのだ。
 
お客さんもこちらを見ながら事情を察したようで「チッ!頼むよ」と嫌そうな顔をする。
 
……な、なんだよーそれヽ(`Д´)ノ
 
みんなで飲んでいる時に間違ったオーダーの料理が来た時などは「これ頼んでないかもですよ〜」と気軽に言えるのだが、定食屋のやや言いにくい雰囲気との違いを察していただけるだろうか?
 

もう一つ。
 
みなさんは病院で点滴を打ってもらった時に、予想外に痛い思いをしたことはないだろうか?
 
僕は以前キラキラとしたニューフェイス感溢れる期待の新人看護師さんに点滴を打ってもらったことがあるのだが、それは同時にあからさまに新人研修丸出し感漂うガチガチに緊張している看護師さんでもあった。
 
当然同じ医院内の同僚やスタッフ相手に練習したことはあるのだろうが、実戦投入一人目といった感じである。
 
こちらとしても精一杯緊張させないように「僕の血管とても評判よくてすぐにわかるってみなさん言いますよ」とフレンドリーに微笑んでみる。
 
 
結果にはあまり影響しなかったかもしれないが、まぁこういった経験を踏んで看護師さんは一人前になっていくのであろう。
 
「俺の屍を超えて行け!」
 
ということであまり気にしないことにしている。
本題はこの話ではない。
 
僕のモヤモヤした点滴のケースは以下の話である。
 
とある日、いかにもベテランそうな看護師さんが手馴れた感じで点滴のセッティングをしてくれる。
「お、今日は一発でプスッと入りそうだな」と思って安心してみていたのだが、
(イ、イテテ!痛い!)
しかしそこであからさまに痛そうな顔をするのもナニなのでガマンしてしまう。
(これぐらいの痛さだったらガマンできそうだしな…)と心の中で思うだけにする。
 
そして15分〜20分ほど痛みの取れないままガマンの時間が続いたわけだが、シュッとカーテンを開けて先ほどの看護師さんが入ってくる。
(やれやれ終わりだ、あぁ痛かった)と思ったのだが、看護師さんがギョッとした表情でこちらを見る。
「あらら、点滴全然入ってないじゃない。痛かったでしょ?」
「あーなんか痛いなーとは思っていたんですけど…」
と苦笑まじりに言ったら間髪入れずに 
「痛かったらちゃんと言ってくださいね!最初からやり直しです。(ったく後がつかえてるのによー)」
括弧内はネガティブな想像だが舌打ちまじりで心底腹立たしそうに言われたのだ。
 
……な、なんだよーそれヽ(`Д´)ノ
 
痛いのをずっとガマンしていたのは僕なのに、あんまりじゃないか…
 

どちらも恥ずかしい実体験である。
 
イマイチ納得のいかないモヤモヤの残る話なのだが、よくよく考えれてみれば自分が受けた不当な扱いをキチンと指摘していれば起こらなかった悲喜劇だとも言えるだろう。
 
なんというか、日本人独特とも思えるような何とも歯切れの悪い話である。
 
「なんとなくナニだし…」という実際意味不明な感情に支配されての意味不明の行動なのだが、きっと一定数の理解や共感は得られるのではないだろうか?(笑)
 
もちろん次に同じようなことが起こったら、同じ轍は踏まない。
 
確固たる態度で「おっと。ちょっといいかい?」と相手の間違いを鋭く訂正し誰にも実害がないようWinWinの結果に導くぜ!と心に誓ってはいるのだが…
 
いかんせん同じような事態はそうそう都合よく起こってはくれない。
 
いや、起こってほしくもないのだけども……
 
でもちょっと起こってくれないかな?
 
ここ数年間ずっと待ち続けているんである。