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ジンくすアゲイン

今回も前回に引き続き、ライブ現場で起こったトラブルのお話である。
正直なところ内容はまったく面白くない。
要するにキーボードブースでの原因不明の怪現象を解決する話を細かく説明しているだけの内容である。
興味のない方はつまんないですよーとあらかじめ“逃げ”を打っておく(笑)
 

ZEPP OSAKA BAYSIDE初日で起こったハプニングが、翌日の二日目でも同じタイミングで再び起こった。
この時点でジンクスとか言ってる場合でなく、明らかな機材トラブルであることが確定する。
再現性があるということは必ずどこかに明確な原因があるはずだ。
 
機材トラブルというのは大きく3つに分類される。
1つめは再現性がなく低い確率で起こる突発的なもの。これが一番厄介だし実際手の打ちようがない場合がほとんどである。
 
2つめは主にヒューマンエラーによる誤作動。
実はきっとこれが一番多いトラブルだと思うのだが、ミスをしている当の本人にミスをしている自覚がないと解決までに長らく時間を要する。
逆にミスに気がつきはしたけれども恥ずかしくて言えない、あるいは言うと多分怒られる等の理由ですっとぼけるというパターンだと「謎の現象」が突如起こらなくなることになるのだろう(笑)
 
そして3つめが今回のような「状況を新しくしたことによってこれまでは想定されなかったトラブル」である。
ヒューマンエラーであるのか仕様の違いによる新たな認識をしなければならないのかも不明である。
こういったトラブルは最低2回同じことが起こってくれないと原因の特定が難しい。
ランダムに起こるようでは原因の究明をするのがとにかく困難となる。
 
今回の僕のセットで起こったトラブルは「アンコール開けの曲が始まると突然シンセの音が鳴りっぱなしになる」であったのだが、初日と二日目で違う曲目であったにも関わらず同じ現象が起きたということは、おそらくトラブルが起きた曲に原因はない。
すでにトラブルはその手前の時点で起こっており、アンコール開けで発覚したという流れになるはずだ。
となると本編最終曲あたりが非常にアヤシイ。
 
しかし本編最終曲はVAMPSライブでこれまで何百回となく演奏してきた曲である。
今更この曲データに原因があるとは思えないし、僕自身もパーカッションを引っ叩くのみで、新たに導入したキーボードは使っていない。
さらにその1曲前に着目してみると、新曲だし新型キーボードも使っているし、曲の最後まで鍵盤を弾いている。
かなり怪しい。
がしかしデータを検証してみても誤動作を起こすような痕跡は認められない。
念のためにさらにデータを遡ってみるが、やはり原因らしきものが見えてこないし前日に何度も検証したことでもある。
 
どこかにヒントはないものか?(-“-)
二日連続となると笑いごとでは済まされない。
 
個々の曲データを検証してみてもなにも見えてこないので、ライブのシチュエーションを再考してみる。
やはり最終曲手前の新曲に原因があるように思える。
そこでこの曲の最後の方からシーケンスデータを流しながら自分もライブと同じように手弾きをし、同じようにボリュームペダルを下げながらホールドペダルを踏み込む。
データを最後まで再生したところでシーケンサーを一旦停止して次曲を読み込む。
やはり問題はない。
念のため同じことをもう一度やってみようかとボリュームペダルを戻してみたらば……シンセの音がホールドしたまま鳴りっぱなしになっているではないか!
え?ホールドペダルは離しているのに……
 
でも見つけた!
今回の原因の再現に成功した!
 
ホールドペダルという音を伸ばすペダルを離す情報がなぜか欠けてしまうことが判明した。
だけども、もしペダル情報が欠けてしまったとしても普通は音色を切り替えたりシーケンスを切り替えたりした時にこのような暴走をしないように一般的なシンセサイザーは音がパスッと途切れるはずなのに……
 
あ……そうか!そういうことかリリン!(渚カヲル風)
 
 
KORG KRONOSというシンセサイザーはライブ使用時の演奏を考慮したある凄い機能がある。
それは例えばストリングスといった音色をホールドペダルで伸ばした状態で別の音色に切り替えても、伸ばしているストリングスの音は途切れないまま、次に弾いた音から新しい音色になるといった「セルフクロスフェード」のようなことができる。
リバーブやディレイといったエフェクト音の減衰などもパスッと切れずに次の音が読み込まれるので非常に美しい切り替えができるのだ。
しかし裏を返せば音色を切り替えるプログラムチェンジデータを受信して本来ならば途切れるはずの音も、そのままホールドし続けてしまうことにもなる。
 
通常はとても便利で親切な機能が、こういった裏目のことが起こりうるということなのか!
今まで回避ができていたのは曲間をまたぐ音色に関してはたまたま外部鍵盤からの入力をさせていなかったからだったのか!
 
そういった意味ではやはり新型キーボードからのデータを拒否するということなので、僕のジンクスは健在ということになるまいか?…と一応言ってはみる(笑)
 
 
原因が判明したところで同じ現象が起こらないように多重防御の解決策をまとめる。
1.ボリュームをゼロにする手前で確実にホールドペダルから足を離して発音していないことを確認する
2.念のためにホールドペダルを複数回カチカチと踏み込んでペダル情報が欠けるのを防ぐ
3.アンコール登場という自分のいない状況となるので、スタッフとも情報を共有しトラブル発生原因の構造を理解しておいてもらう
4.それでも万が一現象が起こった場合は速やかにPAさんにキーボード回線をカットしてもらえるよう根回しをする
 
3までは追い込んだ。
明日、PAチーフのU野さんに媚びへつらってお願いすることにしよう。
後は十分な練習と想定と実践をしていくのみ!
 

と前向きな気持ちになったところで、改めて各方面から問題提議をされる。
事細かな状況説明は求められていない。
言い訳や弁解のように思われたくないし、実際このような七面倒くさい原因がわかったところでミスはミスでしかない。
 
できることはただ一つ、今後同じミスを繰り返さないことだ。
同じ仕事を何十年やっていようとも、何歳になろうとも、いつまでも完璧な人間にはなれない。
 
油断せず慢心せず謙虚な姿勢で臨みたい。
そういう者にわたしはなりたい。