無知を知る

大好きな名古屋市科学館に行ってきた。
 
「え?一体いつ?」
そうなのだ。唯一のオフ日である月曜日は休館日なのである。
こうなったら入り時間の比較的ゆるやかな平日公演の午前中に行くしかない!
といった行動理念に基づき、火曜日の朝に二日酔いを振り払って開館時間目指して向かった。
 
よいこと一緒に学ぼう!
 
名古屋市科学館に来るのは多分4回目となる。
あらゆる科学が詰め込まれた施設なのだが、宇宙関係は特徴的な球状部分に集約されている。
この上半分がプラネタリウムになっており、その一つ下の階が毎回の自分の探究テーマである「宇宙のすがた」というエリアになっている。
 
今回はもはや他のエリアはほぼスルーをしてまっすぐ宇宙に向かった(笑)
平日の科学館は良い子のみなさんの団体見学をいくつか見かけるものの、とてもすいていてゆっくりと見学ができる。
昨日はまさに「宇宙のすがた」の広い見学エリアを独占する瞬間があるぐらいにすいていた。(多分良い子のみなさんはここへは来ない(笑)
 
入り口は狭いが中は広い
 
円形の部屋は外周を時計回りに10m2→100m2(10²)→1,000m2(10³)といった10倍単位のスケールが表現されており、最終的に10の19乗といった見当もつかない大きさに達する。
もはや「宇宙の外側」にまで達しそうな大きさだ。
ちなみに10の7乗あたりで既に地球を飛び出してしまうのだが、そのあたりからもう日常単位に変換して考えるといったことができなくなってくる。
 
巨大な数値を理解するには「円換算」という必殺技を身につけている僕である。
自分の年齢50円に対しての鎌倉時代から1000円、キリストの誕生から2017円、原始時代100万円、ジュラ紀1億5000万円といったスケール感をなんとなくでも理解はできるが、宇宙規模ではさすがの円換算も全く通用しない。
 
そうなのだ。
毎回ここへ来て感じることは「自分がいかに無知であるかを知る場所」であるということ。
自分の浅はかな知識と考え方は宇宙規模ではまったく通用しない。
 
太陽の質量ひとつとっても「1.989 × 10^30 kg」ってなんのこっちゃ?となる。
 

しかし名古屋市科学館の素晴らしいところは、その「何がわからないのかもわからない」という宇宙の不思議を小学生でも理解できるような平易な言葉で解説してくれているところだ。
 
外周に沿ってさまざまな解説がある
 
ブラックホールについての説明を紹介してみよう。
「ブラックホールは極めて強い重力を持つ天体で、ある距離よりも近づくと、光さえ吸い込まれて外に出られなくなります。この距離をシュワルツシルト半径といいます。ブラックホールそのものは見えませんが、近くに星があると星のガスが回転しながらブラックホールに落ち込みます。こうしてできたガスの円盤から出るX線が観測されるので、ブラックホールの存在がわかります。」
 
うん、なんとなくこれはわかる。
庵野秀明監督作品にも「ブラックホール爆弾、シュワルツシルト半径、G型のX線を観測しました」といったワードが出ていたことを思い出す。
 
しかし難易度はどんどん加速度をつけていく。
「ニュートリノとは?」…電荷をもたず、物質を通り抜ける性質が非常に高い素粒子です。中性子が陽子に変わるβ崩壊のときなどに発生します。
 
既に半分以上わからないのだが、容赦なく「その観測方法」「観測装置」「スーパーカミオカンデ」といった解説に進んでいく。
当然理解できないのでそこは「ほほぉ…」と頷いて次のコーナーに移動することになる(笑)
 
それを繰り返し繰り返し、自分の想像力や発想力の限界を知り、宇宙の謎とか以前に、それを知ろうとした偉人の考え方そのものに同じぐらいの畏敬の念を抱くことに行き着く。
本当に毎回それを繰り返している。
 
一つひとつをジックリ時間をかけて読む。これ以上は無理というほどにわかりやすく解説をしてくれているのだが、それでも半分以上はわからない(笑)
 

これだけ文明が進んでいても、我々凡人はほとんどのことを理解してないまま生きている。
「電子レンジ」を使うことはできるし、原理そのものをかろうじて説明することはできても、では電子レンジの構造を完全に理解し自分で同じ機械を作れる人間が人類の何パーセントいるだろうか?
 
よく100年前にタイムスリップしたら発明王になれるぞ!みたいなSFストーリーがあるけれど、少なくとも僕はせいぜいが「カメノコダワシ」ぐらいしか作れないのではないだろうか?(笑)(ドクター中松氏の初期の傑作発明品「醤油チュルチュル」だって作れるかどうかアヤシイものだ)
テレビはもちろんラジオだって作れない。
 
こちらのJINは江戸時代にタイムスリップしたところで何の役にも立ちそうもないのだ(笑)
 
 
宇宙の観測にしてもそうだ。
今回果敢にトライしたのが「ケプラーの法則」を理解することだったのだが、これなどもヨハネス・ケプラーという天文学者は500年近く前に既に太陽系の惑星が太陽を中心に楕円軌道を描いていること、正体はわからないが結果として万有引力の存在にも気がついていたそうだ。(その後ニュートンによって万有引力が発見される)
 
楕円運動のモデル
 
我々凡人は説明をされれば「ほほぉなるほど…」と思うまではできるが、500年前に既にされた同様の発想力を得ることは、……おそらくは一生かかってもできないだろう。
 
そんな偉人たちの偉業の数々が様々なカタチで展示されているのが日本全国に点在する科学施設であり、その中でも特に僕が好きなのがこの「名古屋市科学館」なのだ!(どどーん!)
 

さて、今回の見学でもほとんど何もわからなかった(^^;
 
しかしそれでも自分の中ではまた3%ぐらい理解度を深められたような気がする。
それで十分だし楽しくて刺激的な体験を毎回味わえて幸せになれる。
 
名古屋に来るたびに行きたい場所である。