シミュレーション

前々回「たまにはシンセの話でも…その1」からの続きではあるが、例によってまるで関係のない話題から始まる(笑)
あまりに大胆に飛躍しすぎている気もするが驚いてはいけない。
根底の部分では全てリンクした話題として続いている…とは思う(笑)。
 

プレイステーションに「グランツーリスモ(以下GT)」というレースゲームがある。
このゲームは実在する数百の実車をソフト上でモデリングし、画面内にまさしく実在させている。
ゲームではなく「ドライビングシミュレーター」という呼び方にこだわっているのも頷けるほどに、緻密なデータによって車の挙動全てが忠実に再現されている。
プロドライバーの評価も非常に高く、フォースフィードバックのステアリングコントローラーをはじめとする外部機器でプレイをすると、驚くほどリアリティーを増す。
 
このような本格的な装置が各種発売されている。僕は以前これよりさらに大きなRECARO社製のバケットシートセットを所有していたことがあるのだが、その大きさに辟易して引越しを機に捨ててしまった(笑) もったいなかった!と今でも思うが、たま〜にやるかもぐらいの車ゲームのためだけにそんなものを置いておく場所なんてもちろんどこにもないし「もらうもらう」といっていた友人も「じゃああげる」と言ったら途端に尻込みをし「やっぱりいらない」となった(笑)
 
こういったセットを運転感覚に慣れた上でいざ実車に乗ってみると、驚くべきタイムでいきなり走れるようになるらしい。
いや正確にはそういった才能の開花のさせ方のできる人もいるらしい。
少なくとも僕はそんなことはなかったからだ(笑)
実際にGT開発者がラリーコースをシミュレーター上でやり込み、そして現実のダートコースを本物のラリーカーで走ってみたところ、いきなりプロレベルの走りができてしまったそうなのだ。
また現代のF1ドライバーは、プレステのゲームでコースに慣れるというのは常識らしい。
(初代ゲーマーF1ドライバーは僕の記憶の中ではジャック・ビルヌーブだろうか?)
 
シミュレータ上で忠実に再現される現実感のメリットは非常に大きく多い。
フライトシミュレータは航空会社にはなくてはならないものだし、当然そうなれば鉄道やバス会社も同様の訓練に変わってくる。
 
「電車でGO」の本気版とも言える三菱製のホンモノ。やってみたい!
 
 
さてここで発想をひっくり返して考えてみよう。
 
例えば仮想世界の中で現実に再現可能な最速のマシンというものを新たに生み出したらどうなるのだろうか?
レギュレーションを全て外し、エンジンもタイヤも最高の性能のものを用意したら?
過去に考案されたものの、あまりにも危険すぎるからと封印された技術を装備してみたら?
という「IF…」が具現化されたことがある。
 
いわゆる「オイシイトコドリ」という発想で、GTの仮想世界の中で、究極のスピードカーが開発されたのだ。
 
RedBull X1である。
 
この車、いわゆる「ゲームの中だけの夢のマシン」といった架空のモノとは趣が異なる。
マシンの開発は当時のレッドブルレーシングとGTチームが共同で行い、エイドリアン・ニューウェイというF1界の空力デザイナーのトップがデザインを手がけたのだ。
現実的に作ることが可能であり、おそらく本当に作ったら1%の誤差もないマシンとしてできあがるのだろう。
F1マシンも今や全く同じ手法で作られているからだ。
シェイクダウンはセバスチャン・ベッテル(その後F1ワールドチャンプ4回に輝いた実力者)が担当した。
 
モックアップも作られた
 
鈴鹿の最速タイムを軽く20秒上回るマシンとなったらしい。もはや別カテゴリーである。
 
※私はレッドブルの回し者ではない(笑)
 

現実と仮想現実が「ほぼ同じ」となってから久しい。
コンピューター上で再現されたモノやコトが現実でも同じように再現できる。
現実を模倣することから始まったシミュレーションを経て、今度はシミュレーションから現実が作り出される。
 
大げさに書いてはいるが、考えてみればコンピューターシミュレーションの基本でもある。
これは実験から理論が証明されていた古典物理学に対して、理論から現象が証明されるようになってきた現代物理学にも似ている。
例えばブラックホールの存在は理論先行で予測がされ、文明の進化を待って観測可能になったことで証明された。
 
今に始まったことではない。
 
ないのではあるのだが……上記RedBull X1の例のように、ゲームを構築するプログラムの中から逆発想で架空のマシンがデザインされ、そしてモックアップといえど現実に蘇るという流れを目の当たりにすると…
やはり相当あがるし滾る。
 
ここでさらにもう一つ別の例を挙げてみよう。
…シンセサイザーの話の途中であることは自覚している(笑)
 

僕が初めてあのガンダムを見たのは2009年6月、ダイバーシティーがまだ空き地だった頃の潮風公園に展示されていたのが最初だ。
 
まだ仮公開中で展示スペースも工事中だった。つまり今月24日から公開される二代目立像となるガンダムUCが見えてしまっている「なう」とほぼ同じタイミングだろう(笑)
 
全高18メートルのガンダム立像、アニメの世界のロボットを忠実に再現したものである。
ヤバイ!カッコイイ!
全身が震えるほどに興奮したし、半ば放心気味かつ食い入るようにガン見していた。
かれこれ小一時間は眺めていただろうか(笑)
 
しかし同時に違和感というか不自然さも感じてしまったのだ。
いろんな感情が渦巻いていたのだが、最も的確なことを一言で言うならば……
 
歩くの無理だし飛ぶなんてもっと無理!
 
「翔べ!ガンダム」という主題歌全否定のこの感情!(笑)
 
こんな巨大なものが背丈ほどの高さをジャンプして着地したら何が起きるか?
疑いようもなく壊れる!まず間違いなく!
バーニアを吹かして姿勢制御?近くに人がいたらみんな焼け死ぬし吹っ飛ぶ。
それこそエヴァじゃないけど5分でエネルギーが切れそうだ。
つまり兵器としてはもちろんのこと、現実的ではないということがリアルに伝わってきたのだ。
 
実際この立像を作るにあたり、設計デザイナーは「ガンダム像を自立させることがどれだけ困難であるか?」というテーマと闘い続けていたそうだ。
あの巨体を歩かせることはもちろんというか、歩かせることの意味そのものが今のところはまったくないのだ。
白兵戦ではむしろ「格好の的」となるべく、歩兵の持つコンパクトな兵器だけでもフルボッコにできそうであるし、戦車砲の一発でも喰らえば間違いなく転倒し行動不能となるであろう。
あくまでも現代の常識をベースに考えるならば「モビルスーツは今のところ非現実的な兵器である」ということが否応なく実感できた。
 
実物大のこのガンダムを見なければ実感できなかった感覚だとも思った。
 

RedBull X1もガンダムも「コンピューター上でシミュレーションして作られたモノ」という点では同じである。
がしかし、その先にある「リアリティー」にここまでの差があるとは思わなかった。
そういった意味でもRedBull X1の持つ現実感、近い日に実車が走行するのを夢見てしまうのである。
 
 
……壮大なネタから再び地味なシンセサイザーの話題に戻りにくいが、どのツラ下げて次回なにごともなかったかのように戻る予定である。