月別アーカイブ: 2017年10月

ハロウィンの仮装〜2

「みんなでジンさんのことブス呼ばわりして失礼しちゃうわね!見てらっしゃいよ!」
業界屈指の一流ヘアメイクの荒木さんを本気にさせた前回からの続きである。
 
幕張2日目のバックステージ、その日のメイクの順番はやはり僕が一番最初であった。
例によってかなり長めの時間を割いてもらっているタイムテーブルだ。
メイク室に入るとズラリとスタッフが待ち構えている。
前述の荒木さん、スタイリングの貴公子こと高見さん、特殊メイクのエキスパート岩倉さん、それぞれのアシスタント数名で編成された総勢8名に包囲されてひるむ。
な、なんだこの緊張感は?
「よ、よろしくお願いします!」
思わず挨拶にも気合いが入る。
 
ここで荒木さんがスタッフ全員に前説のようなトークをする。
「ちょっとここのバンドのみなさん本当に口が悪くてジンさんの女装をことごとくブスブス言いまくるんですよ。ひどいでしょー?ブスだなんてねぇ?悔しいから今日は絶対美人にしたいんでみなさんご協力お願いしますね!それにしてもジンさんもお可哀想に、あれだけブスブス言われたら凹みません?私だったら立ち直れませんよー本当にヒドい人たちですよねーあんなにブスブス言うことないのにほんと失礼しちゃうわ」
そしてことあるごとに荒木さんはいかに僕がブス呼ばわれされているのかを来る人来る人に説明するのであった。
 
少なくとも「ブス」というワードを一番連呼しているのは荒木さんその人であることを、僕はずっと突っ込めないでいたんだ……(♪BGM「北の国から」のハーモニカーバージョン、るーるーるるるるるーるー♪)
 

ここで『大逆転のミラクルで見事に美人のできあがり〜!』となれば実にスカッと爽やかなブログになることであろうし、結論を急がなければならない昨今の風潮的にもさっさと結果だけ示せばよさそうな気もするのだが、あいにく徹底したリアリズムを信条とするこのブログは、そういった「まとめ」や「省略」は一切しない。
 
なお、今回のブログは「自撮り」が連発される。
自分の素顔を晒すのは社会的にヒヤヒヤする面もあり、また単純に恥ずかしいこともありで普段は基本的にはしないのだが、幸い今回の自撮りのほとんどはメイク中もしくはメイク後の写真なのでそこまで全力で恥ずかしくはないようだ(笑)
しかし最低限一枚、メイク前の素顔を晒さねばならないだろう。
どうせならなるべくキメ顔の一枚を探して選んでみたものの……
 
 
現実は厳しい。
 
「地味なメガネっ子がメガネを外したら実は超可愛かった!」的な簡単な奇跡は、50歳のしおれたオッチャンを美人に仕立てるというプロジェクトでは絶対に起こらない
 
それを成立させるには、プロのテクニック(ズル)、ダメだったら次の策といった切り替えの早さ(割り切り)に加え、舞台演出効果(ペテン)、数時間だけ保てればよいというその場限りのゴマカシ(サギ)といった非現実的なウソを平気でまかり通すまでを徹底して、初めてミラクルが起こるのだろう。
 
今日の被験者(僕のことだ)は相当難易度が高い。
チームが一丸となって取り組まねば決して成功にはたどり着けないだろう。
 
 
……本心を言えば僕だって「ジンちゃんキレイ〜」と言われるような都合のよい写真だけを選んだブログにしたい。
妬まれたい嫉まれたい憎まれたい。
 
しかし自分のポリシーを曲げることはできない。
自虐的なまでに痛々しいメイキングを敢えて公開することで、スタッフの技術や意地、そしてどこか楽しみながら真剣に仕事をしているプロの姿勢を改めて知っていただきたいのだ。
そのためになら喜んでなんでも晒しましょう!(案外嫌いじゃない)
 
以下、閲覧注意!(笑)
 

 
STEP1:14時03分 まずは神戸で試みた「強制二重まぶた」を作る。あ、数年ぶりにあごヒゲを剃りました。
メイク班による試行錯誤の末、100円ショップで売られているチャチな中国製が一番乱暴に二重ができることが判明したらしい。
尚、一般用途で使うには分かり易すぎるため推奨はできないらしい。
 
STEP2:14時07分 ファンデーション及びかつら装着用に髪の毛をまとめる。
ざっくりクッキリと乱暴な二重が出現している。
 
STEP3:14時09分 美女に存在してはならない「たるみ」を引っ張って固定する。
ここで特殊メイク班投入!ホウレイ線を消しシワを伸ばし固定化させるために特殊な接着剤とテープ処理を施す。この辺りから早速現実離れをしていく。
 
STEP4:14時13分 「たるみ」の処理その2。タレ目を吊り、眉毛の角度まで変える。
クールな表情で黙々と仕事に徹する岩倉氏。テープはかつらに隠れるので無問題だが、この時点で僕の人相からは離れていく(笑)
 
STEP5:14時37分 カラーコンタクトでいきなり黒目が大きくなり色も変わる。
つけまつげ、アイライン等のメイクで目の大きさが2倍になる。おそるべし!キモいけど。
 
STEP6:14時53分 眉毛を作り込み全般的なメイクの微調整。
ここで一気に大御所の占い師か風水師のような怪しすぎる風貌に。荒木さんの表情はまだ険しい。だが迷走しているわけではなく確固たる自信で美女に向かっている……んですよね?キモさMAXがこの時点だろう(笑)
 
STEP7:15時07分 1時間が経過、かつらを装着し微調整を重ねるも性転換にたどり着けない!
あーこういうミュージシャンいるよね〜…
…様々な処理を施すもこの方向性での女性化は無理と判断。DAIGO氏もツイートしていたが、やはり男の骨格を女にすることはできない。いさぎよく方向性を転換し「ざわちん方式」にシフトすることに決定。ってかイタい。
 
STEP8:15時13分 マスクをつけて鼻から下を隠す。
!!!
ここで一気に中性っぽくなった!凄い!……ってか誰だオマエ?(笑) キモくない!キモくないぞ!
 
STEP9:18時39分 パット入りのブラジャーをし、衣装に着替える。馬子にも衣装というか、ここで中性ゾーンから女性エリアに突入できたと思われる。
帽子もかぶり髪の毛(かつら)を整える。ほぼ完成だが表情が男っぽいというか…なぜ眉間にしわを寄せているのだ自分?(笑)
 
STEP10:18時54分 完成。映画「タイタニック」で有名なコルセットをギューギュー締めつけるシーンのアレと同じことをやられ腰の「くびれ」を捏造する。……苦しい!ここからイベント終了までの3時間を耐えるのだ!
 
カメラマンのたなかずさんにそそのかされ「わたしキレイ?」的な表情で微笑む自分。ここまでくると「照れ」はなくなりむしろノリノリとなる。
 
女性スタッフ陣が「奇跡の一枚!」と評した写真がこちら。
「いやーこんなショット二度と撮れませんよ!奇跡ですよ!まさに奇跡!」と荒木さん。
褒めてくれているのだろうけどやや微妙な気分だ(笑)
 

 
以上が僕の女装過程である。
これで画面を上方向にスクロールして一枚目に戻っていくと、実に感慨深いものがある(笑)
 
ライブ中ハイド氏が「今日がピークだと思います」と言われていたが、実際終演後にあちこちでチヤホヤされる、されちゃうこと!
「一緒に写真撮ってください!」と熱望され「キレイ」とか「カワイイ」を連呼される。
確かにこんなにチヤホヤされたことは未だかつてなかったし、今日のような奇跡はもう起きないだろう。
確かに今日はある意味でのピークなんだろうなぁ……
せめてこの多幸感を一分でも長く味わおうっと!
 
・・・・・・・・
 
そしてメイクルームに戻り、シンデレラの12時の鐘の音のように魔法が解けていく。
元の自分に戻っていきながら今日の数時間を反芻する。
 
楽しかったな、幕張2日目。
 
改めてヘアメイクの荒木さん、スタイリストの高見さん、特殊メイクの岩倉さん、アシスタントのみなさんに最大限の感謝をしたい。
こんな特別な思い出を残してくれてありがとうございました!
 
 
 
 
……そしてさっきから部屋の隅にチラついている明日の衣装というか、装着キットをなるべく見ないようにしながら過ごした1日だったが、そろそろ現実を受けいれなければなるまい。
明日は妖怪デー、僕は「ろくろ首」をやるのだ。
 
それにしても……
 
この叩き落されるような落差はなんなのだろうか?
 
 
全てをすっ飛ばして幕張3日目の集合写真。
(当然のことだが)中央の真性美女に全て持って行かれる。
 
こうして2017ハロウィンパーティーは無事終幕したのであった。 

ハロウィンの仮装〜1

ここ10年ですっかり日本にも定着したハロウィンという文化。
しかしお祭り好きであり宗教観ガン無視の国日本ならではなのだろうか、既にかなりオリジナルからかけ離れた独自の文化になりつつあるようだ。
2005年の「Halloween Of The Living Dead」の頃は、まだまだ一部でのみ開催されるイベントといったものだったが、今では9月になったと同時に街の中にオレンジ色のカボチャが出現し始める。
地域の商工会や地元商店街に至るまでハロウィンには積極的で、今年はついに「ハロウィン宝くじ」まで出てきた。
 
ハロウィン関連の音楽イベントもここ数年で急激に増えている。
しかし国内ハロウィン音楽イベントの元祖と言い切ってよろしいかと思われる我らのハロウィンパーティー。
そこは一日の長というか、主催側にせよ参加するお客さんにせよ、その本気具合は他のイベントとは一線を画す。
東急ハンズのパーティーグッズコーナーでは収まらない本気の仮装をしているお客さんがとにかく多いこと多いこと!
もはや猫耳カチューシャとマントといった簡易的な仮装では浮いて見えてしまうほどだ(笑)
 
 
僕個人の仮装は数年前にライフマスクのカタを取ってから、仮装の域を遥かに超えた超本気のメイクとなっている。
イモータン・ジョーやダースシディアスといった映画のキャラクターのメイクはもはやハリウッドレベルにまで達した。
メイクのハードルは上がり続け、インフレ化による飽和感すら感じていたここ数年だったように思う。
(ただのお面をかぶるだけではないのだ)
 
そして今年は予想の斜め上を行くまさかの女装案が提案される。
しかも、毎年ファンの間で年に一度の楽しみとなっている「ハイド様の女装」と間違わせる仕掛け演出として。
50歳のしおれたオジサンを、映画のヒロインに扮するハイド様に錯覚させる!
 
そんな無謀な計画が提案されたのはアメリカツアー中の9月26日のこと。
今年のテーマは映画「パイレーツオブカリビアン」。
ジョニー・デップ扮するジャック・スパロウ船長はハロウィン仮装の定番ともなっているが、メンバー全員でこの映画のキャラクターを演じるのは初となる。
その中での美女となると、ここはやはりエリザベス(キーラ・ナイトレイ)となるのであろう。
ハイド氏ならば朝飯前だろうが、僕がこの美人さんに変身するとなると……言うまでもなくハードルは相当高い。
早速ロサンゼルスからヘアメイクの荒木さんに打診をしてみる。
 
J「荒木さん、ハロウィンメイクで質問です。僕をパイレーツオブカリビアンのエリザベスに変身させることは可能ですか?」
 
A「キーラ・ナイトレイですね?全力で挑ませていただきますっ!!ところで目を整形しておいてもらうことは可能ですか?」
A「冗談です。アイプチをしこたま投入するなどで対処できるかと思われます」
 
J「ハイド氏が『荒木さんならできる!』と申しておりました!そして『後ろ姿でハイド様の女装かと思ったのに正面向いたらジンちゃんかよ!』といったオチ的な感じのブスメイクではなく、本気のキレイを求めているようです。よろしくお願いします」
 
A「やはり……高須クリニックへ行っていただいていいですか?」
 
J(既読スルー)
 
といった建設的な打ち合わせも完了し、計画はスタートしたのであった。
 
 
10月21日(神戸ワールド記念ホール)
 
この日のアリーナ公演のメイク時に「エリザベスメイクの予行」が実施される。
タイムテーブルには「JIN整形&ヘア」と書かれていた(笑)
所要時間も読めないのでアサイチの、かなりフライング気味な早い時間にセッティングがされる。
 
アイプチを始めとする様々なメイク品が用意され、まずは兎にも角にも「強制二重まぶた」から始まる。
ここを乗り切るだけでかなりの前進が期待できるのだ。
ところが僕のまぶたは非常に重いらしく、一応「奥二重」ではあるらしいのだが、とてつもなく深いらしい(笑)
かなり大胆な位置に二重パーツを作り大きめのまぶたを作る。
つけまつげ、メイク、眉毛描き等を試行錯誤して暫定完成したのがこちら。
 
後ろに写っている人たちの失礼千万な笑顔が計画の脆弱さを物語っていた。
ハイド氏も「二重にすれば美人になるってもんじゃないね」とシビアというか、当たり前体操的な意見をぶつけてくる。
清春氏の「おじさんが女装をするとおばさんになります」という名言の深みを思い知ったのはこの1週間後のハロウィンパーティー初日のことだが、それ以前に「二重にはなったものの性転換には程遠い印象」だ。
 
メンバーのコメントもかなり辛辣で「場末のオカマバーのママ」「勘違いしたオカマのブス」「なんかムカつく」「とりあえずブス」と容赦のないバッシングを浴びせてくる。
みなさんよほど僕を打たれ強い鋼鉄のハートの持ち主と思っているようだが、そんなことは決してない。今夜も枕を濡らすことになりそうだ。
そんな楽屋風景を見て荒木さんは「みんなでジンさんのことブス呼ばわりして失礼しちゃうわね!見てらっしゃいよ!」とメラメラと闘志を滾らせる。
 
おぉ!メイクの神様に火がついた!(・∀・)
 
神戸から幕張の期間内にさらなるメイクの探求がされ、衣装や後述する特殊メイク班のスタンバイも水面下でセッティングされていく。
本気のハロウィン仮装チームは、日本でも有数の一流スタッフで構成されているだけでも凄いことなのに、みなさん手を抜くこと一切なく全力で取り組んでくれているのだ。
こうして迎えた今年のハロウィンパーティー。
そして問題の女装は2日目に行われることに。 
 
さぁどうなる幕張2日目!?
 
つづく!

ジャパンクオリティ

帰国して一週間が経つ。
海外仕事の後片付けをしたり、書き溜めた文章のまとめをしたり、留守にしている間の雑事やらなんやらで忙しい。
アリーナファイナルとハロウィンパーティーの準備もいろいろ同時進行で進んでいるのだが、精神的になにかと過酷だった今回の海外ツアーから日本に戻っての日々の落差がとにかく激しい。
 
逆に言えば日本のサービスにどっぷり浸かった生活から一変しての海外での数週間の生活にもすっかり慣れた頃にまたジャパンクオリティが戻ってくることに、微妙な違和感を感じるのだ。
この感覚は毎回帰国時に味わうのではあるが、特に今回は強く感じた。
 
その兆候は帰国時のLAX、ロサンゼルス国際空港から始まる。
今回のツアーでなにが一番大変だったかといえば、前回にも書いたが「とにかく荷物の移動が大変だった」ということだ。
空港カウンターで48個の荷物を預けるのも受け取るのも大変だったが、特に我々が強く感じたストレスは「ダンドリが悪い」「行き当たりばったり」といった海外航空会社係員のマイペースすぎる挙動だ。
メキシコに移動するときは離陸の4時間近く前に手続きを開始したにも関わらず、あわや乗り遅れそうになったりしたほどの…モタモタするにもほどがあるだろ!というヘタレっぷりだったのだ。
数回の移動でいろいろと手痛い目にあってきたので、ホテル出発も朝の4時とか3時とかどんどん前倒しになっていく。
帰国時は日本の航空会社だったのだが、半ば習慣となった「チェックイン開始のさらに1時間前」にはカウンターに到着していた。
そこで待機していようかというタイミングで表題のジャパンクオリティがはじまる。
カウンターが開くのは午前10時だったのだが、午前9時の時点で「では超過分の荷物と取り扱い注意の荷物と一般の荷物を分けておきます」と係員数名で手際よく仕分けはじめたのだ。
全員のパスポートを回収し万全の状態まで準備をしてくれた上で「では10時までお待ち下さい」と言われる。
なんという心強さ、頼もしさ、安心感だろう。
 
(営業前にここまでしておいてくれるありがたさたるや)
 
これが海外の航空会社だとどうなるかというと……
まぁ営業時間前はそもそもカウンターに人はいない。
いたとしても完全スルーを決めてかかってくる。
時間になっても面倒くさそうな表情の職員が「チッはずれひいちまったよ」的な態度で全員分の束のパスポートを見てウンザリされる。
そこから謎の空白の時間があり、最初に荷物にタグをつけられるまでに30分ぐらいかかるのはザラだし、1時間経っても数個ということもあった。
まるでわかってない係員が勘で手続きをした挙句に1時間経ってあまりの遅さに先輩係員に交代するのかと思いきや……そこから新人研修になってしまったこともあった。
 
そんなさんざんな目にあってきた我々に日本の航空会社の係員のキビキビした姿は眩しすぎた。
これぞまさにジャパンクオリティである。
10時5分前ぐらいから手続きがはじまるが、その淀みなき手続きのスムーズなことよ。
座席のリクエストも柔軟に対応していただき、ラウンジやゲート位置の説明もキッチリしていただき、全員の手続きが完了したのは10時33分。速い!
その迅速な対応に感謝の言葉をかけると「手続きに手間取ってしまい申し訳ありません」とまで言われる。
 
めっそうもございません!
 

無事帰国して空港のトイレに入る。
ここでもジャパンクオリティを感じることができる。
まずは何と言っても別次元の清潔感。
そして暖房便座の温もりに感動し、ウォシュレットに涙する。
あぁ久々のこのお尻の感覚。「ただいま」と心とお尻で思ってしまう(笑)
 
空港を出た後は超高性能自動販売機で「ペットボトルのお茶」を買う。
硬貨にもお札にも対応しお釣まで出てくるのが日本の自販機だ!
しかも暖かい飲み物まである!←
 
駐車場で車を受け取り運転してもジャパンクオリティは続く。
道の舗装が異常に平らで凸凹がない。
日本車のエンジン音が静かで落ち着かない。
まるで滑っているよう、ロードノイズが極端に少なく走行感は希薄だ。
高速道路の料金は高いがゲートは全自動で渋滞も少ない。
 
 
いかん、褒めすぎだ(笑)
 
「やりすぎ」と思うこともいくつかはある。
まずは各種アナウンスがとにかくクドい。
電車に乗っていても車掌さんや自動アナウンスがひっきりなしに流れている印象だ。
しかも「携帯電話はマナーモードにし……」といった不要な説明が繰り返され、発着時の度にあまり有用とも思えないインフォメーションがくり返される。
 
街の雰囲気も微妙だ。
リドリースコット監督の視点じゃないけど、とにかくギラギラしていて景色がやかましい。
ヨーロッパの街並みなどは「暗すぎなんじゃ?」と思うほどに暗いのだが、南米にしても大部分の北米にしても、夜は当たり前だが暗いものなのだ。
 
 
超高性能自販機はありがたいが、とにかく数が多すぎる。
コンビニもありすぎる。
少なくとも東京都内はどちらも半分に減っても誰も困らないのではないだろうか。
 
とちょろっと日本の悪口も書いておいてバランスを取ることにする(笑)
 
 
そしてVAMPSのアリーナライブは明日だ。
ここでもジャパンクオリティが炸裂することだろう。
いや、これはジャパンというわけではないか(笑)

これは時差ボケ?

前回の「中古水」はタナパイ(「MAN WITH A MISSION」のトーキョータナカ氏)がリツイートしてくれたおかげで大変な反響だった。
おそらくこれを機にアメリカ大陸横断ツアーバスに乗る日本人の間で固有名詞化されるであろう「中古水」であるので、ぜひワンオクさんはじめアメリカで頑張る他のバンドでも定着していただけたらと願うばかりである(笑)
 
中古水に関してはフォロワーのみなさんからもいろんなアイディアが寄せられた。
当事者の知恵だけでなく、多くの皆さんの意見が寄せられるSNSはネット社会の「陽」の部分なのであろう。
これからもみなさん共々じょうずに活用していけたら幸せだなぁ…と強く感じた。
 

さて、そんなツアーバスとお別れをしてからかれこれ1週間が経つ。
その間我々はロサンゼルスからメキシコのグアダラハラに向かい、そこで数日滞在しつつライブを無事終え、さらに飛行機でメキシコシティーを経由しつつ乗り継ぎ便でチリのサンティアゴに入っている。
元々はメキシコシティーで予定されていたイベントが震災の影響でキャンセルされたために急遽チリへ早めの移動となったわけだが、本来宿泊するはずのホテルは混雑していたので別のホテルに二日間滞在し、先ほど予定されていたホテルに落ち着いた。
窓の正面にはアンデス山脈がドーンと見渡せる素敵な立地のホテルである。
 
この1週間で3箇所のホテルに宿泊しているのだが、どのホテルも素晴らしかった。
ベッドはふかふかで広々としておりシャワーもあればソファーもある。……ほぼ当たり前の条件なのだが、バス生活を長くしているとそんなことにも感動するのだ(笑)
昨日までのホテルには広いバスタブもあり、満を持して温泉のモトを入れて「あーどっこいしょー!あーっっ!」とオヤジクサイ呻きというか雄叫びをあげてしまったほどだ(笑)
(あまりの嬉しさに部屋の写メを撮ってしまうぐらい舞い上がるw)
 
そして何より自分一人のプライバシーが100%保たれた空間。
隣のベッドからイビキや歯ギシリが聞こえてくることもなければシャワーの順番待ちをする必要もない。
“大”をしたい時は「赤ちゃんのお尻ふき」とパスポートを手に(とりあえずパスポートとオオトリ様だけは肌身離さず持ち歩くべし)ガソリンスタンド休憩でトイレに走っていたあの不便な生活ではなくなったのだ。
 
なんと快適なホテル生活!
いつでもウンチのできる生活(笑)
 
し・あ・わ・せ❤️
 

……のはずだったのだが、なんだろうこの違和感は?
 
というか、正直居心地が悪い。
というか、正直楽しくない、寂しい。
というか、正直なんか強迫観念のようなものに囚われている?
というか、正直いつでもウンチできるってそれほど重要じゃない。(お腹を壊した時を除く)
 
え?なんで?なんでなの?
バスの中では夢にまで見たホテル宿泊なのにぃ!
 
とにかく数時間おきにガバッと起きてしまう。
その時にベッドが揺れていない静けさにまず不安になる。
「知らない天井だ…」と思うのはエヴァファンの後付け的な説明だけども、自分一人で部屋の中にポツンといる不安感を感じるのは本当だ。
 
おかげでまた時差ボケのような生活に戻ってしまっている。
まぁアメリカ西海岸ーメキシコーチリには微妙な時差があるにはあったのだけれども、せいぜい1時間とか2時間。わざわざボケるまでの時間ではない。
 
なんなのだこれは?
 
と疑問に思い、考えあぐねて一週間、先ほど答えがわかった。
 
これは時差ボケではない。
 
いわばバスボケだ!
 
快適なバス生活が恋しくてボケているのだ!
そうだ!そうにちがいない!
 
考えてもみたまえ。
バスに乗ってアメリカ大陸を縦横に走っていた日々のことを。
 
(無骨でシンプルなツアーバス。イカス!)
 
ライブを終えシャワーを浴びバスのロビーでビールを飲んでワインを飲んでさらにウイスキーを飲みながら宴会をしていた日々。
記憶を飛ばしかけ、もしくは飛ばしても、眠くなれば10歩歩いて自分のベッドに潜り込み、狭いけれども心地よいベッドに揺られながら(まさしく揺られながら)眠りに落ちる日々。
目覚めても静かに揺れ続け、トイレに行きたければモッソリ起き上がって用を足し再び眠りに落ちる日々。
寝過ごすこともなく、会場に到着すれば誰かが「着いたぞー」と起こしてくれるので何の心配もいらない。
楽園のような生活ではないか。
(陽気なJIMとちょっとエッチなJordan)
 
ところが今はどうだろう?
 
まずは飛行機という乗り物がまず煩わしい。
荷物をチェックインするのがとにかく煩わしい。
パスポートとエアチケットを常時携行していなければならないのがマジで煩わしい。(オオトリ様とは大違いである)
普通の旅行ならさておき、我々は機材の移動も含めてなので10人で48個とかの大量の荷物をまずカウンターに預けなければならないのだが、これがまぁ海外の空港では時間のかかることかかること!
ロサンゼルスのカウンターなんてあなた!日本で30分で済んだことが3時間半かかってもまだ終わらずにあわや数名乗り遅れそうになるぐらいまで追い詰められるし、その空港に向かうにしてもかなり余裕を持って到着しなければならず、グアダラハラに至ってはホテル出発が早朝の3時半とかだったし!
 
そしてようやくチェックインが終われば次は出国時にテロリスト扱いされ厳重なX線チェックやら荷物検査やら。
飛行機内に乗り込んだら乗り込んだでギュウギュウの座席の中で耐えること数時間。
到着したらしたで今度は犯人扱いの入国審査に先ほどの48個の荷物が全部あるか何重ものチェックをして、そして税関審査やら機材の持ち込み申請用紙のチェックやら検査やらをかいくぐり、その48個を複数のカートに分けて載せてそれをさらに車に載せ、ホテルに到着したら48個全てを降ろし、48個のうちの38個を倉庫に預けたりあるいは自分の部屋に持ち込んだりし、朝になればまたそれをまた全部出し再び車に乗せ……🔁
 

これがバス生活ではどうだったか?
 
牽引している機材車から楽器を降ろし、ライブが終わったらまた積む。以上。
なんとスガスガしくもシンプルな日々だったことか!
 
今はホテルのベッドで眠っていてガバッと起きた時はまず「いまなんじ?」の確認に走ってしまう。
そして「あぁよかった、寝過ごしていなかった」という安堵と、その後に「ちっ!起きちまったよ!」という悔しさが伴う。
これがバス生活の時はどうだっただろう?
目覚めてまずはバスが動いているかいないかを背中で感じる。
動いていたら「よし走行中」と思うし、止まっていれば「トイレ休憩かな?」と思う。
その時に尿意や便意をモヨオスようならムックリ起きるし、そうでなければ再びまた寝るだけだ。
乗り過ごすこともなければ乗り遅れることもなく、本当に寝坊しそうな時は誰かが起こしてくれる。
考えてみればなんと居心地のよい空間だったことか!
 
世間のしがらみも近所付き合いも日常のイザコザも一切ないバス空間。
 
あぁ恋しいかなバス生活!
 
 
……とここまで勢いで書いて、そして読み返して思った感想は二点。
 
1.バス生活=ダメ人間生成所!( ゚∀゚)・∵. ガハッ!! 
2.ショーシャンク刑務所を数十年ぶりに出所した老人か俺は!
 

しかしバス生活は実際相当疑いようのないダメで怠惰な毎日だ。
この生活に慣れてしまってからの日常への更生期間は本当に大変だ。
朝の9時に目覚めることがもう苦痛、いやそれ以前に目覚ましをかける時点でほのかに感じるストレス!
起きられなかった時の劣等感、慌てて着替える屈辱感。
お店で酔っ払った時に「寝床まで帰れるかな?」というプチ恐怖心と面倒くささ。
「起こさないでください」の札を出し忘れてホテルの清掃のおばさんにガチャッと入られた時の羞恥心、気まずさ。
 
そんなものは一切バス生活にはなかった!
 
今もバス生活を続けている狼さんたちはきっと我々吸血鬼以上にダメ人間化、いやダメ狼化してはいまいかとただただ心配である。
僕らは人間生活に戻ってこられたからいいけれども(全然戻れてないからコマリモノなんだけれども)、彼らはこの先大丈夫だろうか?
悪性化しすぎているのではあるまいか?
心の底から心配なんである。
 
……ほんっとうに余計なお世話である(笑)
 
と狼さんリスペクトで始まり、狼さんリスペクトで今回のブログを唐突に終える。