やらずにすむゲーム

どうぶつの森」のiOS版が登場したと聞き、早速ダウンロードをしてみた。
 
僕自身このゲームをやったことはこれまでなかったのだが、好きな漫画家の描いていた「どうぶつの森の世界で内向的な毎日を送る日記漫画」がとても楽しげだったことを思い出したからだ。(桜玉吉「幽玄漫玉日記」6巻)
(川で魚を釣ってたぬきに売るだけの毎日をずっと過ごしていたり、ゲーム内でできる昔のファミコンを黙々とやり続けたりといった暗く地味な内容なのだが「なんて自由な空間なんだろう」と妙に魅力的に思えたのだ(笑)
 
ところが期待を込めて「どうぶつの森」を開始してみたものの、たちまち面倒くさくなってきた。
メッセージを読んでそれに従いキャラクターを操作するだけでえらく手間に感じてしまう。
木にぶつかってリンゴを落として動物にあげるだけのクエストすら面倒くさい。
5分程やって静かにアプリを閉じ、アイコンを長押しして即消去。
 
「どうぶつの森」は今の自分には向いていないゲームらしい。
 

ずいぶん前だが、漫画家の吉田戦車氏がとあるゲーム専門誌で「やらずにすむゲームはないか?」といった内容の4コマ漫画を描いていた。
 
ゲームはやりたいのだけども最近やるのがどうにもおっくう、だからゲームをいざやろうと思っても、やらなくていいから安心だと思えるゲームがあったらいいのに…と切望しているオチだ。
なんとも矛盾した内容ではあるのだが、その感覚がわからなくもない気はする。
 
 
ゲームの世界に没入すれば楽しいのはわかっている。
グランドセフトオート3(GTA III)」に出会ってオープンワールドゲームにハマった僕は、それ以降「GTA IV」「Red Dead Redemption」「OBLIVION」「SKYRIM」「GTA V」「DYING LIGHT」といった「その世界の中で好き勝手に生きてられるゲーム」ばかりを好んでやっていた。
しかし当然こういった「仮想世界で生きるゲーム」は、そのデキが良いほどに現実世界に悪影響を及ぼす。
ゲーム世界の住人になるということは、その分現実世界の密度が薄くなっていくからだ。
「ずっとやっていたいけどそれではダメ人間になってしまう。だけどやりたい!」と葛藤する自分のダメっぷりがまた腹立たしく感じてしまう。
 
その都度、吉田戦車氏の言う「やらずにすむゲーム」がどんなものなのかを想像した。
 
……と、ここまで読んで「一体どんなゲームなんだろう?やらずにすむゲームって」と思われる方もいるかもしれないが、当然そんなゲームがあるわけがない(笑)
 
これから紹介する「やらずにすむゲーム」は、もちろんやらずにすむわけではない。(購入したゲームを遊ばないのは自由だが)
しかしある意味ではやらないゲームという分類が成立するのではないだろうか?と密かに思っていたりはするちょっと変わったゲームだ。
 

僕が新幹線や飛行機の中で好んでやるゲームの一つに「TOWER MADNESS2」という羊を宇宙人から守る可愛らしいゲームがある。
これは「タワーディフェンス」という確立したジャンルのゲームで、基本的にプレイヤーは“砲台”を固定画面内に効率良く設置するだけで、ゲーム自体のアクション性には一切の介入をしない。
 
砲台には火薬系や電気系といったいくつかの攻撃タイプの種類があるが、有効射程に入った敵を攻撃するといった定型動作をするだけだ。
敵エイリアンにもいくつかの種別があり、それぞれ有効な攻撃方法が異なるが、こちらも可能な限り最短距離で進撃をしてくるだけだ。
 
つまり基本的にはコンピューター同士の戦いを「見ているだけ」なんである。
これが意外にも結構面白い。というか、ハマる。
(エイリアンがなるべく遠回りするようなレイアウトを考え、より効果的なダメージを与えられるように砲台を配置していくのが基本だ)
 
盤面上に少しずつプログラムを重ねていくような面白みもあるし、詰将棋的に何度も失敗をしながらベストプランを検討していく地味な興奮がある。
「全然面白そうに思えない」と感じたあなたは運がいい。この魔力に取り憑かれてしまったらもういけない。
時間泥棒ゲームであることは間違いない。
 
ちなみにこのゲーム、今でも思い出したように時々やってしまうのだが、もう3年以上やっているかなりの長寿ゲームだ。
300円の有料アプリではあるが、無料アプリで広告を見せられる鬱陶しさを思えばってか、なにより3年越しでやっているのだから元はとりまくっていると言えるだろう(笑)
 
尚、このゲームはライバルを登録して仲間内でスコアを競い合うことができるのだが、僕の場合は広島で開業医をしている友人と刺青だらけの某ベーシストがライバルで、一時は「あ!チクショー抜かれた!」とムキになってスコア更新に命をかけていたものだった。くれぐれもハマリ過ぎには注意(笑)
 

もう一つ紹介したいのは、今年の南北米ツアー時に一部メンバーの間で爆発的に流行した「BALLZ」というシンプルなブロック崩しのようなゲームだ。
(とりあえずまったく面白そうに見えない画面)
 
画面内のブロックには数字が記されており、その数字がゼロになるとブロックが消えるというルールで、例えば「7」ならば7回ボールが当たればブロックが消える。
画面内の点滅する丸い玉に当てれば自分が射出できるボールが一つ増える。
 
最初は1個からはじまるボールもラウンドクリアーをひたすら重ねていくうちに100個200個と増えていき、射出時間も最初は1秒に満たなかったものが、200個の射出ともなれば1分以上かけてひたすら撃ちまくり続ける感じになる。
ブロックもラウンドに合わせてどんどん硬くなっていき「500」なんてブロックで埋め尽くされていく。
 
このゲームもやってみるとわかるのだが、自分がやれることは「ボールを打つ向きを決めて発射」するだけだ。
つまりはまたしても「見てるだけ」であり、限りなく「やらずにすむゲーム」なんである。
これが静かに静かに面白く、僕のiPhone6のバッテリー寿命を一気に削った張本人であると睨んでいる。
新しいiPhoneXで快適な動作をしてくれて一番嬉しいのがこの「BALLZ」だったりするかもしれない(笑)
 
BALLZ
 
こういった時間つぶし系のゲームは、やり方さえ誤らなければ退屈な時間を楽しいひとときに変換してくれる素敵なツールになる。
電車を待つ数分、お湯が沸くのを待つ数分、データのバックアップをしている数分、ウ○チをしている時など、手持ち無沙汰のときにちょこっと起動してやるぐらいだと罪がなくていい。
 
吉田戦車氏のいう「やらずにすむゲーム」とは意味合いが違うが、画面内の動きに自分は間接的にしか介入せず、見ているだけなのになぜか楽しいゲームというのは案外少ない。
 

ちなみに僕のルールでは、これらのゲームを自室のデスクでやるのは禁止だ。
時間つぶしでやるゲームはあくまでも時間つぶしの目的でやらなければならない。
iPhoneでちょこちょこやるゲームは移動時の合間とか、ちょっとした空き時間の狭間を埋める用途でやるのが望ましい。
 
では当然僕の自室にゲーム機はないのかといえば……PS4が置いてある(笑)
しかしこちらは時間つぶしでやるようなオマケ的なゲームではなく「ジックリ腰を据えてやるゲーム」なのだから、それを自室でジックリやるのはマイルール的には当然ながら問題にはならない。
 
屁理屈みたいなことを言ってるように思われるかもしれないが、まさしくただの屁理屈である。