ブログ授業〜1

「大人のためのDTM講座」なるセミナー?クリニック?も今月末で3回目となる。
なんとなく興味はあるけれども敷居が高そうだなぁ……と思われている方が案外多いっぽい。
実際そんなに難解な講座ではないのだが、DTMという言葉自体が醸し出す難易度増しの雰囲気は否めない。
そこで今日からしばらくこのブログの中で簡単な講義を並行してやってみたい。
 
ところでこの「大人のためのDTM講座」の根幹には「80年代音楽」、いわゆる80’s Musicを教材にしているケースが多い。
近年の音楽は複雑化しており、耳コピするのも非常に困難でキッカケを掴みにくいといって差し支えなく、「かっこいいけど、正直なにがなんだかチンプンカンプン」というのが率直な意見ではないだろうか?
聞いて楽しむ分には何の問題もないのだが、一度音楽を分解するという行程を経ての説明、パソコンを使っての再現といった流れの中では、現代音楽はやや扱いにくいのが実情だ。
DTMの入り口が最新のEDMとなると、最初の一歩のハードルが非常に高い位置にあることは否めない。
 
一方のエイティーズサウンドというのは、音数的には非常にシンプルだ。
様々な理由が挙げられるが、最も明確な理由として筆頭に挙がることは……
即答できますかな?音楽業界のみなさま←
 
それはマルチトラックレコーダーのチャンネル数が今よりもずっと少なかったからだと断言できる。
スマートフォンと同じぐらいの幅……は言い過ぎだが十分すぎる太さの2インチ幅テープが使われていた。
「DIGITAL」のロゴが時代を感じさせるSONY PCM-3324
 
現代では録音トラックはDAW(Digital Audio Workstation)上、実質無制限となっているが、80年代の録音機は16~32チャンネルが限界、音楽表現が一気に豊かになるのには1989年のSONY PCM-3348の登場を待たねばならなかった。
(※80年代回顧録……それ以前も24chと24chのレコーダーを同期させる“スレーブ回し”という重い宣言の後に儀式的作業を経ることによって、チャンネル数を増やすことはできたのだが、2台のレコーダーのシンクロは非常にレスポンスが悪く、また物理的機械動作音をガッチャンコガッチャンコ鳴らしながらモタつく録音作業は誰にとってもストレスフルな録音環境でしかなく、結構スレーブ回しは憂鬱だった)
 
 
当たり前の話ではあるが、録音トラック数が4つしかなければ1つのトラックにより多くの音を詰め込まなければならず、一度録音してしまったら最後、バランスを変えることもできなくなる。ビートルズの時代がまさにその頃だろう。
それはそれで変更のきかない、さぞかしスリリングなレコーディングだったことだろう。
 
故・美空ひばりさんはマルチトラックレコーダーの時代であっても、常に演奏者との一発録音でしか歌わず、しかも一回しか歌わなかったという伝説が残っている。
ひばりさんはともかくとして、バックで演奏するミュージシャン達は大変なプレッシャーの中で演奏していたことだろう。
 
一方の現代では楽器パート別に録音するのはもちろんのこと、一つのパートにしても、何トラックも使って録音がされている。
ドラムだけでも12〜24chぐらい使われている。
(Kickx2,Snarex2,HH,Tom1,2,3,OverHeadx2,Ambx2これだけでもう12ch、ここからさらに各トリガーやら部屋のさらなる空気感とかを録るチャンネルが増えていくわけだ)
 
VAMPSのギター録音などは、一つのバッキングパートの精度をより極めるために一弦ずつ録音するという手法が採用されたこともある。
パワーコードの一音一音を別々に演奏して録音するわけだが、それは当然より正確な演奏技術を求められるわけで、ギタリストとしても二度手間三度では済まされない大変な作業となったのだが、やはり良い音の方がイイ!という純粋な理由と目的で寡黙なレコーディング作業がひたすら続けられた。
そこまで突き詰めて録音された珠玉のサウンドが悪かろうはずもなく、今後もずっと色褪せることのない野太いパワーコードであり続けることだろう。
 
といった非常に高度な技術で録音されている現代音楽の再現性がいかに困難であるか?うっすらとでも想像がつくことであろう。
当然そんな音楽の表層だけを耳コピしたところで同じようになることもなく、ただただ「なんで俺の弾いたパワーコードは同じ音にならないんだろう???」となるばかりだろう。
ふっふっふ。そんな簡単な話ではないのだよ。(忠告:だからといって一弦ずつ弾いてみたところでやっぱり同じ音にはならないとも思うけれどもw)
 
では80年代の音楽をリアルタイムで聴いていた我々はどうだったのだろうか?
先ほども説明した通り、80年代サウンドは音数としてはかなりシンプル、全てのパートを耳コピするのはそこまで大変ではないと言える(とは言え複雑なテンションコードといった逆に今ではあまり聞かない音楽理論的な“難解な響き”にはさんざん苦しめられもしたが)。
確かに楽器パートの構造を耳で理解するところまでは出来ても、決して簡単には近づくことのできない決定的要因があった。
今の時代とはまた違うジレンマがあったのだがおわかりだろうか?音楽業界のみなさま←
 
このお題は次回までの宿題にすることとして、続く!
 
といった話に興味津々のあなたは是非!(YMO好きの団長さんあたりは楽しい内容だと思うんだけどなぁ……と個人指名してみるw)
 
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