カメラを止めるな!の特典映像が面白い!

「カメラを止めるな!」の特典DVD「現地リハーサル通しver.」が想像以上に面白い。尚今回は内容について一部ネタバレありの説明をしている。作品の面白さにさほど影響しないであろうとはいえ、やはりこの映画のベストの視聴環境は「何も知らずに観る」だと思うので、知りたくない人は読んではいけない。一応「ネタバレガード」を途中で一回入れておく。

僕は元々15〜20歳ぐらいまで、主にサークル活動で自主制作映画を作っていた。僕自身はその頃からホラー映画が好きだったので「人を飲み込む校庭の砂場」とか「女子高生が無自覚に吸血鬼になっていく」とか「人体実験をやっているらしい病院の地下での警備バイト」とか、そんな話ばかり妄想しては脚本を起こし、仲間内でキャストやスタッフをグルグル回しながら作っていた。

右奥で撮影しているのが高校時代の自分である


そんな前科があるので、映画のメイキング映像を見るのが昔から好きだった。舞台裏の種明かしや苦労話は、ある意味で本編より面白く感じられるからだ。そういった興味は音楽方面でも同様のようで、表舞台に立つことよりもとにかく裏方スタッフをやりたいという気持ちのほうが俄然強かった。

キャストとスタッフを兼任しながら少人数で作る映画というものが低予算映画では商業作品でもよくある。別の映画なのにキャストがほとんど丸かぶりしていたりしていて面白い。
「ピンクフラミンゴ」で有名なジョン・ウォーターズ監督なんてどの作品を見てもほとんど同じ人しか出てこない。またジェームズ・キャメロンやティム・バートンといった大御所監督のキャストの使い回しも有名だ。特に主役クラスではなく脇を固めるキャストは、両監督ともに思い入れの強い俳優さんが多いようだ。

以前「ラヂオの時間」を紹介した時にも書いたが三谷幸喜や伊丹十三もそうだし、最近では福田雄一監督作品によく出てくる役者さんは「福田組」と呼ばれるようにまでなっている。佐藤二朗やムロツヨシは福田作品の中ではなくてはならない存在になっているだろう。

ここからネタバレあり。

「カメラを止めるな!」の通しリハーサル映像。既に映画を見た方ならご存知の通り、ノンストップワンカットで撮影された映画序盤は舞台劇さながらリアルタイムに進行していく。完成した映画を繰り返し見るほどに「それにしてもよくできているなぁ」と感心してしまうのだが、この通しリハーサルを今回見てさらに「それにしてもいやいや、本当によくできているんだなぁ」と大きく頷いてしまった。


回しているカメラは一台のみなのだが、映画撮影の現場というのは当然カメラマン一人だけで撮影しているわけではない。「アツアツファンブック」のスナップにあった「『撮影スタッフ』を撮影しているスタッフ」という二重の絵それだけでもかなり面白いのだが、ガンマイクで音声を拾う人、照明やレフ板を持つ人、監督、メイク、造形スタッフなど大勢が同時に動いている。通しリハ映像にはそういったスタッフが画面のあちこちで見切れてしまっているわけだが、インディペンデントのかなり小規模な撮影チームとはいえ、OKテイクでよくぞこの人達を一度も写すことなく撮りきったものだと感心してしまった。


そしてカメラマンの体力!階段を駆け登ったり降りたり草むらを走って転んだりは映画を観ていた時からわかっていたのだが、通しリハ映像は効果音もBGMも入っていない素のままの音声。動きの激しい画面では激しい呼吸音が、それこそゼーゼー言いながら必死で追いかけている雰囲気が映画以上に伝わってくるのだ(笑)。暗い室内や明るい屋外の出入りでは画面がブラックホワイト両アウトしてしまったりといった技術系トラブルもバンバン起こっている。

ちなみに映画の中盤で血糊がレンズに飛び散ってしまうという映像があるが、これは演出ではなくまさにガチで起こったトラブルだったそうで、カメラマンが布でゴシゴシ拭いている(笑)。「なんてデタラメな!でも面白い!」と思ったものだ。


さらに録音の絶妙さ!映画の舞台は廃墟となった浄水施設。セリフは建物内を反響しまくって非常に聞き取りにくいのだが、通しリハ映像では本当に音がグオングオン回ってしまっていてよく聞こえない。セリフの音量差がこんなにあったのか!と思うぐらいに大きな声と小さな声の差が大きかった。スタッフの声や呼吸音を消し音楽や効果音をつけるポストプロダクション作業は本当に大変だったとは思うのだが、ほとんどは監督が自宅のパソコンで作り上げたらしい。その辺りの制作環境も今やそのレベルで作れてしまうのか!と思ってしまった。


僕の中ではまだまだ終わらない「カメラを止めるな!」だが、尚「カメ止め」という略語は自分の中では禁止行為である(笑)

ああ!自分もまたこういった作品作りを再開させたい!「カメラを止めるな!」は僕にとってそんな願望を激しく喚起させる映画でもあったのだ。
高校時代の映画友人とは今でも交流があり、何年に一度か集まって飲んだりもしている。とりあえず監督をやっていた男と「近々会おうな!」とコンタクトを取ったのが8月。しかし未だに実現していないのはほとんど自分の事情である(´_ゞ`)ちーん